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□ キャリアデザインマガジン 第73号 平成20年4月7日発行
日本キャリアデザイン学会 http://www.cdi-j.jp/
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「キャリアデザインマガジン」は、キャリアに関心のある人が楽しく読める
情報誌をめざして、日本キャリアデザイン学会がお送りするオフィシャル・
メールマガジンです。会員以外の方にもご購読いただけます。
※等幅フォントでごらんください。文中敬称略。
□ 目 次 □———————————————————–
1 キャリア辞典「ダイバーシティ(5)」
2 私が読んだキャリアの1冊 小倉千加子『結婚の条件』
3 キャリアイベント情報
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【学会からのおしらせ】
◆日本キャリアデザイン学会は、以下のとおり研究会を開催いたします。
非会員の方もご参加いただけます。
先着順ですのでお早めにお申し込み下さい。
なお、各研究会の詳細は学会ホームページでご確認ください。
http://www.cdi-j.jp/gyouji/02.html
(平成19年度第5回研究会)
日 時:平成20年4月24日(木) 18:30~20:00
講 師:生活協同組合連合会ユーコープ事業連合人事・人材開発部部長
秋場 隆氏
テーマ:「ユーコープ事業連合におけるキャリア開発制度について」(仮題)
参加費:会員無料、非会員3,000円
会 場:学士会館
※定員に達ししだい締め切ります。
お申し込みはこちらからhttps://www.hosei.org/event/detail/20080424.html
(平成20年度第1回研究会)
日 時:平成20年5月21日(水) 18:30~20:00
講 師:国民生活金融公庫総合研究所主席研究員 竹内 英二氏
テーマ:「キャリア教育における中小企業の役割」(仮題)
参加費:会員無料、非会員3,000円
会 場:法政大学ボアソナードタワー25階 イノベーション・マネジメント
研究センターセミナー室(東京都千代田区)
お申し込みは近日中に学会ホームページにて受付開始いたします。。
◆日本キャリアデザイン学会は、以下のとおり北関東地区中間大会を開催いた
します。
非会員の方もご参加いただけます。
日 時:平成20年5月24日(土)10:00-17:00
主 催:日本キャリアデザイン学会・新島学園短期大学(共催)
会 場:新島学園短期大学(群馬県高崎市)
テーマ:「地域社会のキャリアデザイン支援力」
参加費:会員1,000円、非会員2,000円(予定)
内 容:記念講演、パネルディスカッションのほか、エクスカーション、会
員交流会などを計画中
詳細・お申し込みはこちらからhttp://www.cdi-j.jp/topics/080524.html
(参加方式、会員・非会員により申し込み方法が異なります)
◆2008年度 学会大会会場・テーマが決定しました。
平成20年9月27日(土)午後-28日(日)午後
会 場:京都産業大学(京都市北区)
テーマ:キャリアデザイン:個人の責任と支援者の役割-「自律」と「協働」
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1 キャリア辞典
~「キャリア」に関する用語をめぐるコラムです~
「ダイバーシティ」(5)
わが国企業におけるダイバーシティの進展状況はどうだろうか。代表的な多
様性として性別、年齢、国籍のそれぞれについてみてみたい。
まず性別について、厚生労働省の「平成18年度女性雇用管理基本調査」を
みると、女性の職域拡大や管理職登用などは総じて年々進展する傾向にあるよ
うだ。たとえば、係長相当職(役員を含む)以上の管理職を有する企業の割合
は、平成元年の51.6%から平成18年には66.6%に上昇しているし、同じく係長
相当職(役員を含む)以上の管理職全体に占める女性の割合は平成7年の4.7
%から平成18年には6.9%となっている。
もっとも、これがダイバーシティ・マネジメントの一環として意識されて取
り組まれたかというと、おそらく大半はそうではないだろう。むしろ、1999年
に施行された改正男女雇用機会均等法にポジティブ・アクションに対する国の
援助が盛り込まれるといったことが契機となっている可能性が高い。
次に年齢についてみると、高齢者の就労状況をめぐる最近の変化には劇的な
ものがある。改正高年齢者雇用安定法が2006年に完全施行され、企業には原則
として希望者全員を65歳まで継続雇用することが段階的に義務づけられること
となった結果、厚生労働省が平成19年10月19日に発表した「平成19年6月1日現
在の高年齢者の雇用状況」によれば、改正高年齢者雇用安定法施行前(平成17
年)に比較して、60~64歳の常用労働者数は約78万人から約100万人に27%の
増加、65歳以上の常用労働者数は約27万人から約39万人に47%の増加と、いず
れも年齢計の8%増加と比較して大幅な伸びを示しているという。
とはいえ、これもまたダイバーシティ・マネジメントの一環として取り組ま
れたものとはいえそうにない。いわゆる「2007年問題」にともなう技能伝承問
題への対応や、法改正への対応といった側面による部分が大きいとみるべきだ
ろう。実際、インターネット上のウェブサイトを広く渉猟しても、高齢者雇用
について「ダイバーシティ」というキーワードで推進している企業の事例を多
く見つけることはなかなか難しい。
もうひとつ、国籍については厚生労働省の「外国人雇用状況報告(平成18年6
月1日現在)の結果」でみてみよう。平成18年における直接雇用の外国人労働者
数は222,929人で、平成12年の120,484人と較べて大幅な増加となっている。
外国人労働に関しては、厚生労働省は「外国人労働者問題に関するプロジェ
クトチーム」による「外国人労働者の受入れを巡る考え方のとりまとめ」とし
て、専門的、技術的分野については「我が国の経済社会の活性化や一層の国際
化を図る観点から、受入れをより積極的に推進します」とする一方、単純労働
者については「国内の労働市場に関わる問題を始めとして日本の経済社会と国
民生活に多大な影響を及ぼすと予想されることから、国民のコンセンサスを踏
まえつつ、十分慎重に対応することが不可欠です」との方針をとっている。し
かし、現状をみると、生産工程作業員が125,921人で全体の56.5%を占めるほ
か、 販売・調理・給仕・接客員、建設土木作業員、運搬労務作業員をあわせ
ると4分の3を超える。これらがすべて単純労働であるとはいえないだろうが、
専門・技術・管理職が全体の19.1%にとどまっており、しかもこれらの比率が
過去10年間それほど大きく変化していない(個別には、生産工程作業員が減少
しているのに対して販売・調理・給仕・接客員が増えているという傾向的変化
はあるが、これらに建設土木作業員、運搬労務作業員を加えると約7割前後、
専門・技術・管理職が約2割前後という比率は10年間でほとんど変わっていな
い)ところをみると、厚生労働省の政策に沿った現状にあるとはいいにくそう
だし、ダイバーシティ・マネジメントの考え方に合致しているかどうかも疑問
が残る。
(編集委員 荻野勝彦)
2 私が読んだキャリアの1冊
『結婚の条件』 小倉千加子著 朝日文庫 2007.1.12
著者の小倉千加子氏は心理学者で、「日本一芸のあるフェミニスト」である
そうだ。「結婚は『カネ』と『カオ』の交換」とか「男は仕事と家事、女は家
事と趣味(的仕事)」などと喝破し、「この国の少子化対策はことごとくツボ
をはずしている」と断じて関心を集めた人である。この本はその著者による
「結婚の条件」をめぐるエッセイ集であり、「それを言ったらおしまい」的な
みもふたもない本音を次々と繰り出している。女性を中心に、一部男性の「結
婚の条件」を、学生の意識調査や「VERY」「STORY」といった女性誌
の分析、あるいは梅宮アンナや倉田真由美といった話題のタレントの分析など
を動員して多角的に論じている(正直なところ、私には女性誌やタレントはピ
ンと来なかったのだが、女性読者には面白いだろう)。なにかといえば、要す
るに女性も男性も高すぎる「結婚の条件」にこだわりすぎるということ。結婚
が人生キャリアに大きく影響する最重要イベントのひとつであることは間違い
ないので、こだわるのも当然といえば当然の話だが、「はっきり言えば人には
みな価格がついており、自分の価格に応じた相手が購入できるのだが、みな自
分に貼られた値札を見ることができにくく、従って、自分が思っている「適当
な相手」というのが、他人から見ればしばしば高望みであったり、「適当」を
通り越して「夢のように非現実」…であったりしても、当の本人は気づかない
という滑稽なケースが頻発している」という指摘はまことに痛烈であるが、言
いにくい本音をあえて言うことにはそれなりの値打ちがあるだろう。実際、著
者が女子学生・男子学生に対し「結婚相手に求める3つの条件」を訊ねた調査
結果が紹介されているが、たしかにまことに高望みのようだ。しかし、彼らが
こだわるこの「結婚の条件」を考慮しない「この国の少子化対策はことごとく
ツボを外」すことになるのだ。
たとえば、世間では少子化対策として「仕事と家庭の両立」をいう。そして
そのために「結婚・出産しても仕事をやめなくていい」ようにしようとしてい
る。しかし、著者によればこれがことごとく「ツボを外している」ということ
になる。大雑把かつ不正確にまとめると、結婚・出産後に就く仕事というのは
どんな仕事であってもいいというわけではなく、就くに値する仕事でなければ
ならない。そうでなければ専業主婦になるほうがよいし、家計のために就くに
値しない仕事に就く(続ける)くらいなら結婚しないほうがよい。そして、就
くに値する仕事をするために「働くことにお金を消費することが許される」の
が「特等専業主婦」である。その例として、報酬以上の経費を費やしてフラ
ワーアレンジメントの教室や紅茶のコーディネーターを持ち出しで続けている
人が紹介されている。タレントの三浦りさ子さんもこのカテゴリに入るらしい。
この本は2002年から2003年にかけて連載されたものが2003年に単行本化され、
昨年文庫化されたものである。したがってこれも2002年から2003年当時の話だ
が、今日でも少子化対策はキーワードこそ「ワーク・ライフ・バランス」に変
わり、中身もあれこれ変わってはいても、「とにかく結婚・出産後の従前の仕
事を続けられるように」という基本的な発想は変わっていないのではないか。
もちろん著者の先見性には感心すべきであろうが、それ以上に、5年を経過し
ても「ツボを外し」続ける進歩のなさを嘆かずにはいられない気分になる。
ではどうするのかという話になるが、著者によれば男子学生が結婚相手に求
めるのは「かわいい、賢い、家庭的、軽い(体重が)」の「4K」なのだそう
だ。男子学生はそういう相手が現実にいるものと思っているのだが、著者はそ
れに対し4つもKを求めていては結婚できない、3つ求めるのでも自身過剰で、
2つあれば御の字だと思いなさい、と助言しているのだとか。女子学生の求め
る「結婚の条件」はまた異なるものだろうが、話としては似たようなものだろ
う。分相応とか足るを知るとか、表現はいろいろありそうだが、おや、これっ
て「キャリアデザイン」にもずいぶん通じる話じゃないのかな?
(編集委員 荻野勝彦)
※「私が読んだキャリアの一冊」は、執筆者による図書の紹介です。
日本キャリアデザイン学会として当該図書を推薦するものではありません。
3 キャリアイベント情報
~キャリアデザインに関係するイベントの開催予定などをご紹介します~
◆国連広報センター 国連ライブラリー連続講座「ILOとその資料」
平成20年4月14日(月)13:30~15:30
於 国連大学ライブラリー(UNハウス2階)(東京都渋谷区)
http://www.unic.or.jp/new/pr08-022-J.htm
[編集後記]
結婚も就職もマッチングという意味では同じでしょう。「つらい仕事もいや
がらず、労働条件にも不満を言わず、やるべきことはいちいち言われなくても
きちんとできるまで粘り強くやりとげる若者」とか「やりがいのある、成長で
きる仕事をすぐに任せてくれ、労働条件も人間関係も職場環境もいい会社」と
か、そうそうあるはずもないのですが。あ、そんなこと言われなくてもわかっ
てますか、これは失礼しました。(O)
【日本キャリアデザイン学会とは】
・キャリアを設計・再設計し続ける人々の育成を考える非営利組織です。
・キャリアに関わる実務家や市民と研究者との出会い・相互啓発の場です。
・多様な学問の交流からキャリアデザイン学の構築を目指す求心の場です。
・キャリアデザインとその支援の理論と実践の連携の場です。
・誤謬、偏見を排除し、健全な標準を確立する誠実な知的営為の場です。
・キャリアデザインに関わる資格、知識、技法、専門の標準化の努力の場です。
・人々のキャリアの現実に関わり、変えようとする運動の場です。
学会の詳細、活動状況はホームページに随時掲載しております。
◆日本キャリアデザイン学会ホームページ◆
http://www.cdi-j.jp/
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◆学会監修・菊地達昭編著『キャリアデザインへの挑戦』優待販売のお知らせ
・本学会の菊地達昭・常務理事編により、学会創立期のメンバーなど、有識者
58人の「私のキャリアデザイン論」(『文部科学通信』に連載)を集大成し
た図書『キャリアデザインへの挑戦』が、経営書院から出版されました。
定価1890円(税込み)のところ、会員には特別に3割引(1323円)で販売を
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*経営書院(FAX:0120(73)3641、e-mail:sato-ken@sanro.co.jp)へ直接
申し込んで下さい。その際、宛名に経営書院『キャリアデザインへの挑
戦』係と書き、冊数、 宛名、送り先住所、送り先連絡先電話番号、会
員番号を明記してください。
なお郵送料はご負担下さい。折り返し振込用紙を同封しますので到着後
1週間以内にお振込下さい。
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日本キャリアデザイン学会(CDI-Japan)発行
オフィシャル・メールマガジン【キャリアデザインマガジン】
このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発
行しています。
配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000140735.htm
無断転用はお断りいたします。
編集委員:荻野勝彦(トヨタ自動車株式会社人事部担当部長)
児美川孝一郎(法政大学キャリアデザイン学部助教授)
日本キャリアデザイン学会事務局連絡先
e-mail cdgakkai@hosei.org
〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1
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