■□□—————————————————————-
□□
□ キャリアデザインマガジン 第41号 平成18年5月29日発行
日本キャリアデザイン学会 http://www.cdi-j.jp/
——————————————————————□■
「キャリアデザインマガジン」は、キャリアに関心のある人が楽しく読める
情報誌をめざして、日本キャリアデザイン学会がお送りするオフィシャル・
メールマガジンです。会員以外の方にもご購読いただけます。
※等幅フォントでごらんください。文中敬称略。
□ 目 次 □———————————————————–
1 キャリア辞典「第2新卒」(3)
2 私が読んだキャリアの1冊 小池和男編『プロフェッショナルの人材開発』
3 キャリアイベント情報
———————————————————————-
【学会からのおしらせ】
◆日本キャリアデザイン学会は、以下のとおり研究会(関西地区)を開催いた
します。非会員の方もご参加いただけます。
日 時:7月15日(土) 16:00~18:00
テーマ:「日本型企業文化とワークモティベーション」
講 師:八木隆一郎 国際経済労働研究所統括研究員
コメンテータ:川崎友嗣 関西大学社会学部教授
会 場:関西大学第三学舎(社会学部)
http://www.kansai-u.ac.jp/Guide-j/access.html
定 員:60名(定員になり次第締切をいたします)
参加費:会員は無料、非会員3,000円
その他:研究会終了後、懇親会を開催いたします。
詳細・お申し込みは、学会ホームページをごらんください。
http://www.cdi-j.jp/event.html
なお、申込みの際は、会員・非会員の区別と懇親会への出欠もお知らせくだ
さい。会場への経路は個別にご連絡いたします。
◆学会研究誌投稿受付について
日本キャリアデザイン学会は、学会研究誌への投稿を募集しております。受
付は本年12月1日から来年1月10日到着分までとなります。投稿規程は学会
ホームページに掲載されていますので、お読みのうえ、ふるってご投稿くだ
さい。
http://www.cdi-j.jp/kenkyushi.html
◆学会大会自由論題報告募集について
日本キャリアデザイン学会は、今年度大会(10月28-29日、於立命館大学)
での自由論題報告の募集を行っております。第一次締切は5月末日です。申
し込み要領は学会ホームページに掲載されていますので、お読みのうえ、ふ
るってご応募ください。
http://www.cdi-j.jp/oshirase060401.html
———————————————————————-
1 キャリア辞典
~「キャリア」に関する用語をめぐるコラムです~
「第2新卒」(3)
若年雇用対策のひとつとして、過年度卒業者を新卒採用枠で採用する(狭義
の)第2新卒採用を、新卒とともに、新卒と同様の選考ルートで行うよう求め
る意見がある。既卒者も、卒業予定の学生とともに会社説明会や面接などの選
考試験を受けさせてほしいということだろう。有力な考え方だろうが、すでに
そのような採用を実施している企業はどのくらいあるのだろうか。
(2)で紹介した、独立行政法人労働政策研究・研修機構が平成16年に実施
した「第二新卒者の採用実態調査」の個人調査によれば、第2新卒者が現在の
仕事に就職したときの採用選考の状況は、「新卒者とは異なる」が67.5%、
「新卒者と同じ」が18.7%となっており、入社時期については、「新卒者と異
なる」が78.9%、「新卒者と同じ」が16.3%となっている。ただし、この調査
の対象者は18~35歳の男女で最終学歴が高校以上、学校卒業年月と現在の仕事
についた年月の間隔が6ヶ月以上の5年以下正社員となっており、(2)で触
れたように、未経験者を新卒者とほぼ同様の育成、人事管理を前提として採用
する狭義の第2新卒者だけではなく、即戦力的な経験者を対象とした一般的な
中途採用者を含んでいる可能性がある。この個人調査では回答者が「新卒枠」
か「中途採用枠」かは調べていない(実際問題として、本人にはわからないこ
ともあるだろう)し、企業調査では採用選考プロセスが新卒と同じかどうかを
訊ねていないので、残念ながらこの調査ではどの程度狭義での第2新卒採用が
新卒とともに行われているのかははっきりしない。とはいえ、一般的な中途採
用が新卒者と同じ採用選考プロセスで実施されることは常識的に考えにくいか
ら、少なくとも個人調査の結果に出ている18.7%以上は、すでに第2新卒が新
卒と同じプロセスでの採用が行われたとみていいだろう。この数字が十分かど
うかは別として、実務実感としては思いのほかに多いように思われる。採用す
る企業にしてみれば、第2新卒については卒業後の職歴など、新卒とは異なる
観点があるだろうから、同じプロセスに乗せるのは非効率にも思えるからだ。
いずれにしても、第2新卒者の選考のあり方については、まだ十分な経験も
なく、深い検討も行われていないのが実情だろうから、今後の課題のひとつな
のかもしれない。企業の人材確保だけではなく、若年雇用が促進されるかどう
かという観点も重要ではないだろうか。
(編集委員 荻野勝彦)
2 私が読んだキャリアの1冊
『プロフェッショナルの人材開発』
小池和男編・監修、2006.5.25 ナカニシヤ出版
書名だけみると、まるでありがちなコンサル本のようだ。実際、amazon.co.
jpで「プロフェッショナルの人材開発」を検索してみると、コーチングや転職
の指南書のようなものがぞろぞろ引っかかってくる。しかし、この本はそうし
た世間にありふれた本ではない。
この本はナカニシヤ出版の「キャリア研究選書」の一冊であり、「シリーズ
日本の人材形成」の最初の一冊である。すなわち本格的な研究書である。それ
だけではない。この本のユニークさは、執筆者の多くが民間企業の社員であり、
いわゆる「社会人大学院生」であるところにある。企業人が、専門の大学教員
の指導のもとに、自社を対象として調査しているのだから、外部からはとうて
いうかがい知ることのできないような内部情報、個別かつ詳細の事例が積み上
げられている。興味深いものにならないわけがない。
取り上げられるのは、5つの職種における、プロフェッショナル人材の育成
過程である。社内で「プロフェッショナル」と認知されている人たちが、どの
ような社内でのキャリア、仕事経験を経てきたのかが、本人はもちろん、上司
や仕事の関係者、人事部署などからの聞き取りによって検証される。とりあげ
る業種も職種も、またプロフェッショナル人材としての到達レベルも異なって
おり、多様である。したがって、当然ながら相違点は多いのだが、しかし共通
点もまた多い。この共通点の多さが、聞き取り調査にはつきものの課題である
サンプルの少なさを十分に克服する説得力を与えている。当然ながら、まこと
に実務家の実感に合った結果が示されていることも、説得力のもう一つの大き
な根拠となっている。
その共通点を思い切ってごく大雑把に書けば、長期雇用を前提として、最初
は入門的な仕事につける。ここで、仕事に必要な基礎知識を獲得させるととも
に、本人の適性をみる。その適性をふまえて、さらにアドバンスした仕事につ
ける。高い適性や能力を認められれば、より高度で困難な仕事が与えられる。
高度で困難であるほど、本人の能力の伸びも大きい。こうして誰もが認めるプ
ロフェッショナルになっていく。ここではキャリアがそのまま教育となり、人
材育成となっていく。
こうした人材開発は、まさに仕事を通じてのOJTでしか行いえない。もち
ろん、Off-JTもプロフェッショナルの人材開発に必要であり、また重要でも
あろうが、しかし主役たりうることはできないだろう。編者が繰り返し強調し
ているように、現代のすぐれてプロフェッショナルは組織のなかにあることが
多く、その育成には企業という組織がまことに重要である。現場の管理監督者
たちが営々と取り組んできたこうした人材育成への取り組みをこれからも続け
ていけるようにしていくことが、私たち人事労務担当者の、ひいては経営者の
大切な役割なのだろう。
(編集委員 荻野勝彦)
※「私が読んだキャリアの一冊」は、執筆者による図書の紹介です。
日本キャリアデザイン学会として当該図書を推薦するものではありません。
3 キャリアイベント情報
~キャリアデザインに関係するイベントの開催予定などをご紹介します~
◆東京労働局 外国人労働者問題講演会
平成18年6月13日(火)14:00~16:00
於 財団法人津田塾会津田ホール(東京都渋谷区)
http://www.roudoukyoku.go.jp/event/2006/20060515-foreigner/index.html
◆独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 平成18年度職業リハビリテーショ
ン実践セミナー
平成18年8月3日(木)~6日(日)
於 高齢・障害者雇用支援機構障害者職業総合センター(千葉市美浜区)
http://www.jeed.or.jp/disability/supporter/research/seminar/h18_seminar.html
[編集後記]
今回は、「キャリアの一冊」でプロフェッショナルの人材開発プロセスに関
する本を紹介しました。たいへん面白く読んだのですが、読んでいて思ったの
は「プロフェッショナルにならなかった人はどうしているのだろうか?」とい
うことでした。おそらくはそちらの方が多数のはずであり、組織の効率にも大
きな影響があるでしょう。「シリーズ日本の人材形成」での続刊に期待です。
(O)
【日本キャリアデザイン学会とは】
・キャリアを設計・再設計し続ける人々の育成を考える非営利組織です。
・キャリアに関わる実務家や市民と研究者との出会い・相互啓発の場です。
・多様な学問の交流からキャリアデザイン学の構築を目指す求心の場です。
・キャリアデザインとその支援の理論と実践の連携の場です。
・誤謬、偏見を排除し、健全な標準を確立する誠実な知的営為の場です。
・キャリアデザインに関わる資格、知識、技法、専門の標準化の努力の場です。
・人々のキャリアの現実に関わり、変えようとする運動の場です。
学会の詳細、活動状況はホームページに随時掲載しております。
◆日本キャリアデザイン学会ホームページ◆
http://www.cdi-j.jp/
—-[PR]————————————————————–
◆働く若者ネット相談事業 ご利用のお勧め
厚生労働省委託事業・日本キャリア開発協会受託・キャリア協議会協力
webサイトを利用していつでもどこでもネットで相談できる仕組みです。
また対面カウンセリングや電話カウンセリング、TVカウンセリングも行っ
ています。詳しくはhttp://net.j-cda.org/まで。 (厚生労働省)
□□■—————————————————————-
□
日本キャリアデザイン学会(CDI-Japan)発行
オフィシャル・メールマガジン【キャリアデザインマガジン】
このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発
行しています。
配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000140735.htm
無断転用はお断りいたします。
編集委員:荻野勝彦(トヨタ自動車株式会社人事部担当部長)
児美川孝一郎(法政大学キャリアデザイン学部助教授)
日本キャリアデザイン学会事務局連絡先
e-mail cdgakkai@hosei.org
〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1
—————————————————————-□□■