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□ キャリアデザインマガジン 第25号 平成17年9月26日発行
日本キャリアデザイン学会 http://www.cdi-j.jp/
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「キャリアデザインマガジン」は、キャリアに関心のある人が楽しく読める
情報誌をめざして、日本キャリアデザイン学会がお送りするオフィシャル・
メールマガジンです。会員以外の方にもご購読いただけます。
※等幅フォントでごらんください。文中敬称略。
□ 目 次 □———————————————————–
1 私のキャリア観 (株)資生堂取締役執行役員 岩田喜美枝(1)
2 キャリア辞典「インディペンデント・コントラクター」(1)
3 キャリアイベント情報
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【学会からのおしらせ】
◆日本キャリアデザイン学会大会の参加申し込みを受け付けています。
日 時:10月1日(土)・2日(日)…前日(9/30)に特別行事を開催
場 所:お茶の水女子大学(東京都文京区大塚2)
※内容の詳細、申込方法などは学会ホームページをごらんください。
http://www.cdi-j.jp/events/event-20051001.html
※なお、特別行事(企業見学)の定員に若干のあきがあるため、非会員に
も参加を呼びかけております。(参加費無料)
9月30日 13:10 川崎駅発バス21番乗り場集合
14:00 花王(株)川崎工場見学会 会社概要説明、工場見学
花王(株)のキャリア支援について(15分程度のミニレクチャー&質疑)
40名定員ですので、事前にkikuchi@yokohama-cu.ac.jp まで、会員・
会員の別、会員番号(会員のみ)、名前、所属、当日の連絡先の電話番
号などを記入し申し込んでください(定員に達ししだい締め切ります)。
◆今後の研究会の予定は以下のとおりです。
(関東地区)
日 時:11月5日(土)午後
講 師:松下電工株式会社ライフデザインセンター所長 村田充範
法政大学キャリアセンター教授 川喜多喬
場 所:未定(東京都心予定)
(関西地区)
日 時:12月10日(土)17:30~19:30
講 師:大阪大学経済学研究所教授 大竹文雄
場 所:未定(梅田周辺予定)
※詳細は、追って学会ホームページでお知らせいたします。
http://www.cdi-j.jp/event.html
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1 私のキャリア観
「ワーク・ライフ・バランスとキャリアデザイン(1)」(5回連載)
(株)資生堂取締役執行役員 岩田喜美枝
【第1回】なぜいま「ワーク・ライフ・バランス」か
-----岩田さんは、厚生労働省の雇用均等・児童家庭局長から民間の資生
堂に転身され、昨年から取締役を務められています。
岩田 今年からは、二つの事業分野を任されました。収益に責任を持つという
のは初めての体験なので、緊張の連続ですが、やりがいを持って働いています。
-----これまで、厚生労働省時代には行政のお立場からワーク・ライフ・
バランスに関する施策を推進され、資生堂でも民間企業の実務家を集めて「ワ
ーク・ライフ・バランス塾」を主宰されるなど、ワーク・ライフ・バランスの
啓発にも熱心に取り組んでこられました。
岩田 ワーク・ライフ・バランス塾は、現在35社の参加を得て活動しています
が、啓発を目的としたものではありません。世の中を変えるやり方はいろいろ
あると思いますが、ワーク・ライフ・バランス塾は、啓発とか情報発信とかで
はなくて、まずは自分たちが変わろうという考え方でやっています。幸いにも
業界をリードする企業にも多く参加いただいていますので、この35社が本当に
その気になって変わることで、産業界全体にも変わっていこうという雰囲気が
できるのではないかと思っているのです。
-----啓発ではなく実践の場なのですね。前後しますが、どうしていま、
ワーク・ライフ・バランスが重要なのでしょうか。
岩田 個人の幸せと、会社の成長の両方を解く解は、これしかないと思うから
です。企業はお客様に新しい価値を提供していかなければ生き残ることはでき
ませんよね。しかし、資生堂なら資生堂の、その価値観の中だけで議論をして
いたのでは、新しい価値を創造することは難しいですね。会社の中に新しい情
報や価値観、人的ネットワークを導入しなければいけませんが、それは社員し
かありえないでしょう。中途採用もいいやり方だと思いますが、人数的には圧
倒的に多い「今いる社員」にどう変わってもらうかと考えると、会社以外の生
活をしっかりしてもらって、そこから無意識のうちに得られる情報や価値観を、
やはり無意識のうちに会社の中に持ち込んでもらうことで、会社が変わってい
ける力を持てるのではないか。会社の成長の源泉は、実は社員の会社の外の生
活にある、だからワーク・ライフ・バランスが重要なのです。
-----なるほど。社内の経験は社員に共通のものですが、社外の経験は社
員一人ひとり違っていますから、情報量もはるかに大きいということですね。
ワーク・ライフ・バランスというと、育児や家事と仕事の両立がイメージされ
ることが多いですが、それに限ったことではないのですね。
岩田 そうです。子育てに限らず、家族との生活や、友人とのつきあい、ある
いは趣味や地域社会とのかかわり、生涯学習、いろいろなものを含んだ幅広い
概念だと思っています。
-----ワーク・ライフ・バランスには社員のニーズと企業のメリットがあ
る、ということだと思いますが、世間では少子化対策、次世代育成支援という
ような、政策的ニーズから議論されることも多いようです。
岩田 少子化についてはさまざまな考え方があるでしょうが、生みたいのに生
めない人がいる、そこを何とかしなければならない、というのは異存のないと
ころでしょう。ではなにが障害になっているか。4つあると思います。まず、
男女の出会いがない。
-----かつては親や親戚、会社の上司がみんな心配したものですが、それ
がなくなってきた。
岩田 結婚しない人が独身主義者かというとそうでもないのです。いい人がい
れば結婚したいとは思っている。ところが、そのために何かしているかという
と、何もしていない人が多い。ただ時が過ぎているだけなのです。ふたつめに、
お金がない。特に若い人たちです。
-----フリーターでは家庭が持てない。
岩田 そうです。いわゆる正社員でない働き方の人は経済的に難しい。正社員
でも、第3子をつくるかどうかの判断の分かれ目は経済面だという調査結果も
あります。経済的理由があるということから目をそらしてはいけません。それ
から、三つめは時間がない。
-----仕事に時間をとられすぎる・・・。
岩田 そこに戻りますね。そして四つめが、育児が楽しくない。これはどちら
かというと専業主婦の問題です。夫は夜寝るためにしか帰ってこない、地域社
会との結びつきもない、それで育児はきちんとできて当たり前。だれもほめて
くれない。本当に楽しくないというのがあって、それが世の中に情報として発
信されている。そういった4つの問題がある中で、ワーク・ライフ・バランス
との関係では時間がない、という問題です。
-----働く女性が増えてきて。
岩田 これまでのような働き方だと、育児と仕事の両立はなかなかできません。
それに、女性だけではありません。男性も、最近の比較的若い男性、たとえば
子どもが小学校に上がる前くらいのお父さんたちには、育児と仕事を両立させ
たいという人が多いのです。家族のために時間を割くためなら、多少は収入が
減ってもいい、ある程度評価やキャリアを犠牲にしてもいいという人のほうが、
家族より仕事を中心に考えたいという人よりずっと多くなっています。それが
実現できない。男性にとっても時間がない。ですから、少子化対策、次世代育
成支援という政策的な意味でも、ワーク・ライフ・バランスはとても重要です。
(聞き手・文責:編集委員 荻野勝彦)
岩田 喜美枝(いわた きみえ)
(株)資生堂取締役執行役員。元厚生労働省雇用均等・児童家庭局長。32年に
わたり労働行政に携わる。退官後、(株)資生堂に転身。映画「ベアテの贈り
もの」制作にボランティアとして尽力。
2.キャリア辞典
~「キャリア」に関する用語をめぐるコラムです~
「インディペンデント・コントラクター」(1)
「インディペンデント・コントラクター」は、本誌の読者であれば周知だろ
うが、世間ではまだ耳慣れないことばの部類に入るのだろうか。訳としては
「独立契約社員」「独立契約従業員」などがあてられているが、カタカナでそ
のまま使われることが多いようだ。確立した定義があるのかどうかはわからな
いが、大雑把には企業組織から独立したフリーランスで、仕事単位で業務を請
負う人、というところだろうか。加えて、どことなく「高度な専門業務」それ
も「技術系、とりわけIT」というイメージがあるように思う。
加えて、とりあえずは「自由で、やりたい仕事をやる」というポジティブな
意味合いのことばとされているのだろうか。単に「契約社員」といえば「フル
タイムの有期雇用の人」というイメージだが、そこに「独立」という一語が加
わるだけで、ずいぶん意味するところが変わってくるわけだ。実はすでに、
「NPO法人インディペンデント・コントラクター協会」というものができて
いて、そのウェブサイト(http://www.npo-ic.org/index.php)には「期限付
きで専門性の高い仕事を請け負い、雇用契約ではなく業務単位の請負契約を複
数の企業と結んで活動する独立・自立した個人のことをインディペンデント・
コントラクター(IC=独立業務請負人)と呼んでいます。」という定義も書
かれている。もっとも、この定義は一般的なものというよりこのNPO法人の
意気込みを示したものだろう。あえて「独立業務請負人」という訳語をあてて
いるのもこの定義に沿ったものと思われる。この団体はNPO法人とはいって
も、ウェブサイトをみるかぎりでは共済事業や研修事業なども展開する限りな
くビジネスに近いもののようだから、インディペンデント・コントラクターを
ポジティブな、魅力的なものとして普及させたいと考えるのは当然のことだろ
うし、実際そうあってほしいものだと思う。
いっぽうで、こうした定義が書かれるということが、それに該当しない「イ
ンディペンデント・コントラクター」が存在するという現実の裏返しでもある
だろう。実際、企業サイドから「インディペンデント・コントラクター」が語
られるときには、ほとんどの場合コストダウンという側面をともなうのではな
いか。もちろん、高度な専門性を持つインディペンド・コントラクターであれ
ば、企業はリーズナブルなコストで高度な専門性をオンデマンドで確保し、本
人も自由と働きがいを確保できるというWin-Win関係を築くことは十分可能だ
ろうし、それが望ましいあり方でもあろう。しかし、すべてがそうではないと
いうのも現実だろう。実態としては雇用なのに社会保険料などの負担を免れる
ために請負契約の形をとる「偽装請負」が「インディペンデント・コントラク
ター」と称して行われているという論外なケースもあるというし、法的には問
題はなくとも、仕事の内容は特に専門的でもなく、契約金額も低く、しかも特
定・単一の発注先への依存度が著しく高いという、単にアウトソーシングを言
い換えただけのような「インディペンデント・コントラクター」も少なくない
らしい。
もっとも、これはインディペンデント・コントラクターの多様性ということ
なのかもしれない(もちろん、偽装請負は論外として)。いまは多数の発注者
と良好なWin-Win関係を築ける高度なインディペンデント・コントラクターも、
技術の進歩に遅れをとり、保有する技術が陳腐化してしまえば、契約金額は低
下し、発注元も減るだろう。これはなにもインディペンデント・コントラクタ
ーに限った話ではないが、インディペンデント・コントラクターはその振幅が
大きいことも間違いあるまい。誰でも簡単に選択できる道というわけではなさ
そうだ。
(編集委員 荻野勝彦)
3 キャリアイベント情報
~キャリアデザインに関係するイベントの開催予定などをご紹介します~
◆東京大学・教育研究創発機構人文社会プロジェクト「日本の教育システム―
教育の失敗」公開シンポジウム「ニート-何が問題なのか」
平成17年10月1日(土)13:00~17:00
於 東京大学赤門総合研究棟200番教室(東京都文京区)
http://www.p.u-tokyo.ac.jp/kikou//20051001%20poster1.pdf
◆東京都男女雇用平等セミナー「女性の人材育成と両立支援」
平成17年10月4日(火)、10月7日(金)各18:00~21:15
於 中央区役所8階大会議室(東京都中央区)
http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/ibento/kyoiku/seminar/iidabashi/fukyu/center_f23.html
◆ドイツ-日本研究所、ミュンヘン大学日本センター、東京大学大学院工学系
研究科、フリードリヒ・エーベルト財団「日本におけるドイツ 国際会議」
「人口の高齢化に対応した人的資源マネジメントと労働政策-日独比較-」
平成17年10月5日(水)9:30~10月6日(木)18:30
於 東京大学山上会館(東京都文京区)
http://gwp01.t.u-tokyo.ac.jp/conference/Program%20JP.pdf
◆大阪大学行動経済学国際コンファレンス
平成17年10月10日(月)10:30~17:15
於 大阪大学コンベンションセンター(大阪府茨木市)
http://www.iser.osaka-u.ac.jp/rcbe/coeconference/index.html
◆東京大学社会科学研究所人材ビジネス部門成果発表会
平成17年10月24日(月)13:45~16:45
於 東京大学山上会館(東京都文京区)
http://web.iss.u-tokyo.ac.jp/jinzai/1024.htm
[編集後記]
かなり以前から、「意味のわからないカタカナ言葉が多すぎる」という意見
があり、数年前からは公的機関が「日本語への言いかえ例」を示して使用を奨
励しています。とはいえ、続々と新しいカタカナ言葉が登場あるいは輸入され
ますから、なかなか追いつくのは大変でしょう。今回キャリア辞典で取り上げ
た「インディペンデント・コントラクター」も、「独立契約社員」ではうまく
ニュアンスが伝わらないところがあるのでしょうか、カタカナのまま定着しそ
うな感じです(定着すればの話ですが)。ところで、インディペンデント・コ
ントラクター協会が提唱する「独立業務請負人」という訳から、なんとなく
「必殺仕事人」を連想してしまうのは私だけでしょうか?もっとも、「必殺仕
事人」は最強のインディペンデント・コントラクターだという見方もできなく
はなさそうですから、これを連想させるということは訳として成功していると
いうことかもしれません。(O)
【日本キャリアデザイン学会とは】
・キャリアを設計・再設計し続ける人々の育成を考える非営利組織です。
・キャリアに関わる実務家や市民と研究者との出会い・相互啓発の場です。
・多様な学問の交流からキャリアデザイン学の構築を目指す求心の場です。
・キャリアデザインとその支援の理論と実践の連携の場です。
・誤謬、偏見を排除し、健全な標準を確立する誠実な知的営為の場です。
・キャリアデザインに関わる資格、知識、技法、専門の標準化の努力の場です。
・人々のキャリアの現実に関わり、変えようとする運動の場です。
学会の詳細、活動状況はホームページに随時掲載しております。
◆日本キャリアデザイン学会ホームページ◆
http://www.cdi-j.jp/
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日本キャリアデザイン学会(CDI-Japan)発行
オフィシャル・メールマガジン【キャリアデザインマガジン】
このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発
行しています。
配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000140735.htm
無断転用はお断りいたします。
編集委員:荻野勝彦(トヨタ自動車株式会社人事部企画室担当部長)
児美川孝一郎(法政大学キャリアデザイン学部助教授)
日本キャリアデザイン学会事務局連絡先
e-mail cdgakkai@hosei.org
〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1
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