キャリアデザインマガジン 第182号

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□    キャリアデザインマガジン 第182号 2026年2月25日発行
     日本キャリアデザイン学会 https://career-design.org/
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 「キャリアデザインマガジン」は、キャリアに関心のある人が楽しく読める
情報誌をめざして、日本キャリアデザイン学会がお送りするオフィシャル・
メールマガジンです。会員以外の方にもご購読いただけます。
※等幅フォントでご覧ください。文中敬称略。
□ 目 次 □————————————————————–
1 学会からのお知らせ
2 キャリア辞典 『キャリア・アダプタビリティ』
3 私が読んだキャリアの1冊
      『自分の「軸」を作る セルフ・ブランディング』
                          有吉 秀樹彦 (著)
4 キャリアイベント情報等
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1 学会からのお知らせ
◆2025年度 第 6 回キャリアデザインライブ!
テーマ:大人の学び直しとキャリア支援
開催日時:2026年3月2日(月)19:00~20:30
開催方法:オンライン
【詳細】
今回のキャリアデザインライブ!では、リスキリングをする本人とその支援者
という 2 つの観点から「大人の学び直し」について検討したいと思います。
まず、大人の学び直しを研究している東京都立産業技術大学院大学の三好きよ
み教授に「社会人大学院生は、なぜ学び直したのか?また学びの中で何を得た
のか?」を伺います。次に、長年キャリア支援に携わってきた埼玉学園大学の
原恵子教授より、リカレント教育プログラムを通した個々のキャリア支援につ
いてご紹介いただきます。
聞き手は筑波大学の尾野裕美が務めます。登壇者も聞き手も、働きながら社会
人大学院に通い、修士号と博士号を取得したという共通の経験をもつ、大人の
学び直しの当事者です。
ご自身の学び直しに興味がある方も、社員のリスキリングに関心がある方も、
ぜひご参加いただけますと幸いです。
登壇者:三好きよみ (東京都立産業技術大学院大学 産業技術研究科 教授)
    原 恵子 (埼玉学園大学 人間学部心理学科 教授)
聞き手:尾野裕美 (筑波大学准教授/当学会研究会企画委員会委員)
参加費:会員/無料、非会員/1,000 円
申込詳細:https://career-design.org/conference/20260302/
申込フォーム:https://career-design.org/eventform/?EVID=f28719a90d894686cb2cc992d3a6a14d
 ※会員の方は、会員ログインの上、お申し込みください。
申込期限:2月26日(木)
◆キャリアの本棚in 北海道
テーマ:Be ambitious(大志を抱け!)ー未来に向けて伝えたい本
開催日時:2026年3月11日(水)18:00~20:00
開催方法:対面(北海道大学 エンレイソウ)
【詳細】
キャリアの本棚では、参加者が、自由な発想で自身の人生経験や問題意識を踏
まえて選んだ一冊を紹介します。選ばれる本は、専門書に限らず、小説、エッ
セイ、漫画、絵本、写真集など多岐にわたります。まるで書店員のような視点
で本を持ち寄るからこそ、日本キャリアデザイン学会らしい、対話的で豊かな
交流の場が生まれます。今回は、北海道を象徴する言葉である「Be ambitious
(大志を抱け!)」をテーマに、未来に向けたメッセージを考える際に紹介し
たい本を持ち寄ります。例えば、若者向けて、部下や後輩に向けて、子供たち
に向けて、道産子(どさんこ)に向けて、ぜひ、あなたが紹介したい一冊を手
に、「キャリアの本棚」にご参加ください。
司 会:平野 恵子(文化放送キャリアパートナーズ・就職情報研究所長)
進 行:梅崎 修 (法政大学キャリアデザイン学部・法政大学大学院地域創造
        インスティテュート教授)
    亀野 淳 (北海道大学高等教育推進機構教授)
    赤坂 武道(株式会社エス・イー・ジャパン代表取締役)
    岸田 泰則(釧路公立大学准教授)
参加費:会員・非会員ともに無料
申込詳細:https://career-design.org/conference/20260311/
申込フォーム:https://career-design.org/eventform/?EVID=8079a4a1a99a408126cf466a6e16b155
申込期限:3月9日(月)
◆2026年 第1回 研究・実践力向上セミナー
テーマ:働きながら論文を書くということ
開催日時:2026年3月19日(木)19:00~20:30
開催方法:オンライン
【詳細】
本学会は、研究者と実務家がそれぞれの枠を越えて交流しているところに特徴
があります。現場の知恵を「現場の経験則」の中で閉じずに、社会に向けて発
信する方法の一つが「論文を書くこと」です。一方で、働きながら論文を書く
ことには、さまざまな壁があるのも事実です。
これまで本セミナーでは、量的研究・質的研究などの研究手法、資料論文・事
例紹介論文の書き方などを扱ってきました。今回はあらためて、「働きながら
研究の入り口に立つ」とは何かを、実際の経験に即して掘り下げます。
講演者は、経済団体に所属して、実際に働きながら論文執筆に取り組んでいる
佐藤憲 さんです。『働きながら論文を書くということ』というテーマのもと、
次の点などを中心にお話しいただきます。
・どのような問題意識から研究をしてみようと思ったのか
(研究のモチベーション)
・仕事と研究の両立について
・二次分析のススメ
登壇者:佐藤憲(経済団体所属/当学会研究組織委員会委員)
聞き手:田澤 実(法政大学キャリアデザイン学部教授/当学会研究組織委員
会委員長)
参加費:無料(会員限定)、 非会員の方はご参加いただけません。※
申込詳細:https://career-design.org/conference/20260319/
申込フォーム:https://career-design.org/eventform/?EVID=c43766e349c463e40c24415ddda9920c
 ※会員ログインの上、お申し込みください。
申込期限:2026年3月15日(日)
◆関西支部 第30回研究会
テーマ:ハウス食品グループの事例から考える、介護・育児支援とキャリア
デザイン~ファミリー・キャリアの視点から~
開催日時:2026年3月29日(日)14:00~17:00(受付 13:30~)
開催方法:対面(会員限定)
場所:公益財団法人関西生産性本部 会議室
〒530-6691 大阪市北区中之島 6-2-27 中之島センタービル 28 階
https://www.kpcnet.or.jp/access/
【詳細】
一億総活躍やダイバーシティが叫ばれて久しいですが、厚労省が目標を掲げ
従業員 101 名以上企業に公表を求めて旗を振るも日本の女性管理職比率は依
然として低水準、活躍しているはずの女性からの「ワンオペ」の悲鳴が鳴りや
みません。ビジネスケアラー(仕事と介護を両立する個人)も現在300 万人を
超えると言われていますが、法整備としても各企業の動きとしても十分な対策
と取られているとは言えない状況です。先行研究でも指摘される通り、出産後
の就業継続や介護と仕事の両立においては、家庭・職場・制度的要因が複合的
に影響するため、一個人、一企業の取り組みでは対応に限界があります。以上
のような問題意識を背景に、本研究会では、ハウス食品グループの「ダイバー
シティを“社員と会社の”力に変える」ための取り組み(介護支援施策を中心
に)を事例として、ファミリー・キャリア(個人ではなく、家族としてのキャ
リア)の視点から話題提供いただき、個と組織が共に栄える持続的で明るい社
会を築くために、キャリアデザインができることを考えます。
講 師:根耒伸至(ハウス食品グループ本社 人材戦略部/関西支部役員)
    加藤淳子(ハウス食品グループ本社 ダイバーシティ推進部)
司 会:吉見弓子(京都美術工芸大学キャリアサポートセンター/関西支部役員)
参加費:無料(会員限定)
申込締切:2026年3月15日(日)*先着順(定員になり次第、締め切り)
申込詳細:https://career-design.org/conference/20260329/
事前申込制:https://career-design.org/eventform/?EVID=4de2a58c8913bcd949f7123bc8496388
関西支部第30回研究会担当役員
吉見弓子(京都美術工芸大学キャリアサポートセンター)
堀越ひとし(関西生産性本部)
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2 キャリア辞典
 キャリア・アダプタビリティ
 企業を取り巻く環境は、デジタル化やAIの活用の進展により急速に変化して
いる。事業構造の変革が進むとともに、企業における業務の一部はAIによって
代替されつつあり、特に影響を受けやすい業界や職種においては、仕事の変更
を余儀なくされる人が一層増加すると想定される。そのような中で、人は「人
間にしか生み出せない付加価値」の高い領域へと仕事をシフトしていくという
論調が一般的である。
 こうした状況を背景として、人事やキャリア支援の領域において「キャリア
・アダプタビリティ」という概念が注目されている。本稿では、研究および実
務の両面からその意義を整理したい。
 キャリア・アダプタビリティは、サビカスが2013年にキャリア構築理論を提
唱した際の中核概念の一つであり、「変化する仕事環境や人生の転機に主体的
に対応し、キャリアを形成していくための心理的資源」と定義される。2012年
には、この概念を測定する尺度としてキャリア・アダプタビリティ尺度
(CAAS)が開発され、実証研究を通じてその妥当性が検証されている。CAASで
は、「Concern(関心)」「Control(統制)」「Curiosity(好奇心)」
「Confidence(自信)」の4因子が示されている。
 日本における主な研究としては、塩川ら(2024)が、日本版キャリア・アダ
プタビリティ尺度を開発者の許諾を得て作成し、大企業で働く会社員を対象に
アンケート調査を実施、尺度の妥当性を検証している。また、四宮・三川
(2024)は、CAASを用いた大学生対象の実証研究を通じて、大手門版キャリア
・アダプタビリティ尺度(O-CAS)を開発し、その妥当性を検証している。同
研究では、サビカスが提唱した4因子に加え、「キャリア展望」を追加した
5因子モデルを提示している。
 さらに、キャリア・アダプタビリティとキャリアレジリエンスとの関係につ
いても実証的検討が行われている。整理すると、キャリア・アダプタビリティ
は変化に備える「発達的・予防的な心理的資源」であるのに対し、キャリアレ
ジリエンスは変化が生じた後にそれを乗り越える「対処能力」と位置づけられ
る。また、因子間の因果関係の分析から、各因子が相互に影響し合っているこ
とが示されており、キャリア・アダプタビリティがどのような経験を通じて開
発されるのかを検討するための手がかりも示されている。
 しかしながら、これらの研究は主に大企業の若手社員や大学生を対象として
おり、企業での実務経験を通じて多様な変化を乗り越えてきたミドル・シニア
層を対象とした研究は十分とは言えない。今後は、そうした層に焦点を当てた
研究の蓄積が望まれる。
 筆者が属するICT業界では、デジタルやAIなどの技術進展のスピードが速く、
それに伴って仕事内容や求められる知識・スキルも急速に変化している。その
ため、変化への適応が常態化しているという実感がある。転職や社内公募とい
った自発的なキャリア選択を尊重するとともに、企業としても社員にとって意
義ある従業員体験を提供する制度・仕組みを整備することが重要である。
 これからの時代に適合した人材マネジメント、人材育成、キャリア支援のあ
り方を模索していく必要がある。人事やキャリア支援に携わる者にとっては、
各企業が置かれている事業環境や企業文化を踏まえつつ、社員のキャリア・ア
ダプタビリティを開発するための総合的な仕組みの設計に取り組むことが求め
られるであろう。
<参考文献>
塩川・保田・中原(2024)「日本語版キャリア・アダプタビリティ尺度の開発
:若年労働者を対象とした信頼性・妥当性の検証」
四宮康亮・三川俊樹(2024)「キャリア・アダプタビリティの概念化と測定
(3)―キャリア・アダプタビリティ尺度の開発とキャリアレジリエンスとの
関連の検討―」
                          (編集委員 松岡猛)
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3 私が読んだキャリアの1冊
       『自分の「軸」を作る セルフ・ブランディング』
                           有吉 秀樹 (著)
                    中央経済社(2013.12.14)
 本書は、キャリア形成におけるセルフブランディングを、自己演出や印象管
理の技法としてではなく、個人が意思決定を行う際の内的基準(=軸)をいか
に形成するかという観点から整理した一冊である。著者は有吉秀樹氏であり、
複数の実務家・専門職による寄稿によって構成されている。
 本書の前半では、セルフブランディングの概念的整理が行われる。ここで強
調されているのは、「何者として認識されたいか」以前に、「自分はどのよう
な価値観と判断基準を持つ存在なのか」を明確にする必要性である。軸とは、
過去の経験、強み、価値観の内省を通じて形成され、それが言語化されて初め
て、キャリア選択や対外的な説明に耐えうるものとなる、という整理が示され
ている。
 後半では、経営者、専門職、グローバル人材など、多様な立場にある執筆者
が、自身のキャリア形成を振り返りながら、どのように軸を見出し、修正し、
行動に反映させてきたかを紹介している。成功体験のみならず、迷いや葛藤、
試行錯誤の過程が描かれており、キャリア形成を結果論ではなくプロセスとし
て捉えようとする姿勢が一貫している点が特徴である。
 また、本書ではキャリアの段階ごとに、セルフブランディングの示唆が与え
られている。就職や転職といった外部市場との関係性が強い局面だけでなく、
組織内で専門性を深める過程や役割転換の局面においても、軸の有無が意思決
定の質に影響することが示唆されている。
 書評者の感想として、本書で繰り返し語られる「軸」の重要性は、心理学で
いう自己効力感(エフィカシー)とも重なる部分があると感じられた。自らの
判断基準を言語化し、納得感をもって行動できる状態は、結果として行動の継
続性や環境変化への耐性を高める。セルフブランディングを外向きの技法とし
てではなく、内的な確信を整える営みとして捉え直す視点を、本書は静かに提
示している。
 企業人事の立場から見ても、本書は個人向けキャリア論にとどまらず、人材
育成やキャリア自律支援を考える際の基礎的な視座を与えてくれる。従業員一
人ひとりがどのような軸を持ち、どのような確信を形成しているのかに目を向
けることの重要性を、改めて認識させられる一冊である。
                          (編集委員 相澤修)
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4 キャリアイベント情報等
◆セミナー「知って役立つ!若者のための労働法入門講座」
 主 催 公益財団法人 神奈川県労働福祉協会
 日 程 2026年2月1日(日) ~ 3月31日(火)
 方 式 オンディマンド
 詳 細 https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/roudou-wakamono.html
◆フォーラム「あらためて女性の働き方を考える」
 主 催 労働政策研究・研修機構
 日 程 第1部 2026年2月19日(木曜)~26日(木曜) *オンデマンド配信
     第2部 2026年2月26日(木曜)14時00分~16時30分 *ライブ配信
 方 式 オンライン
 詳 細 https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20260226/index.html
◆シンポジウム「今こそジェンダー主流化を」
 主 催 日本学術会議社会学委員会
 日 程 2026年2月28日(土) 13:30~17:00
 方 式 リアル開催(東京・六本木 日本学術会議講堂)
 詳 細 https://www.scj.go.jp/ja/event/2026/392-s-0228.html
◆シンポジウム「企業価値に資する人的資本経営」
 主 催 パーソル総合研究所
 日 程 2026年3月4日(水)14:00~17:00
 方 式 オンライン
 詳 細 https://rc.persol-group.co.jp/news/info-202601291000-1/
◆セミナー「採用担当者が、会いたい!と思う応募書類作成術」
 主 催 千葉キャリア形成・リスキリング支援センター
 日 程 2026年3月6日(金) 9:30~10:30
 方 式 リアル&オンライン
 詳 細 https://carigaku.mhlw.go.jp/eventsch/161191/
◆セミナー「部下育成力強化セミナー 褒め上手なマネージャーになろう!!」
 主 催 21世紀職業財団
 日 程 2026年3月6日(金) 13:30~15:00
 方 式 オンライン
 詳 細 https://www.jiwe.or.jp/seminar/open/demo_Johari-Window_online#ops-20260306
◆セミナー「「働くことに悩む子ども」を持つ保護者向けセミナー」
 主 催 奈良県(奈良若者サポートステーション)
 日 程 2026年3月20日(金) 10:00~12:00
 方 式 オンライン
 詳 細 https://nara-soudan.jp/event/hogoshacafe260320/
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【編集後記】
 ミラノ・コルチナオリンピックでの日本選手の活躍に胸が熱くなります。
大舞台の裏には、迷いながら続けてきた日々や節目ごとの選択があるはず。
そんな姿に、自身のキャリアを重ねてみてはいかがでしょうか。本年度もよ
ろしくお願いいたします。(H)
・キャリアを設計・再設計し続ける人々の育成を考える非営利組織です。
・キャリアに関わる実務家や市民と研究者との出会い・相互啓発の場です。
・多様な学問の交流からキャリアデザイン学の構築を目指す求心の場です。
・キャリアデザインとその支援の理論と実践の連携の場です。
・誤謬、偏見を排除し、健全な標準を確立する誠実な知的営為の場です。
・キャリアデザインに関わる資格、知識、技法、専門の標準化の努力の場です。
・人々のキャリアの現実に関わり、変えようとする運動の場です。
 学会の詳細、活動状況はホームページに随時掲載しております。
 ◆日本キャリアデザイン学会ホームページ◆
  https://career-design.org 
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  日本キャリアデザイン学会(CDI-Japan)発行
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 このメールマガジンの文責はすべて執筆者にあり、日本キャリアデザイン学
 会として正確性などを保証するものではありません。
【日本キャリアデザイン学会広報委員会】
相澤 修 株式会社ダイナム
 石川 了 労務行政研究所(株式会社労務行政)
 上野友子
 内田勝久 富士電機株式会社
 荻野勝彦 三井業際研究所
梶田マリ
 小室銘子 株式会社パーソル総合研究所
 高橋基樹 日本無線株式会社
 平野恵子 株式会社文化放送キャリアパートナーズ
 堀内泰利 筑波大学
 松岡 猛 NECライフキャリア株式会社
 山下弘晃 東武不動産株式会社
 山野晴雄 元・桜華女学院(現・日本体育大学桜華)高等学校
 日本キャリアデザイン学会事務局連絡先
 〒162-0041 東京都新宿区早稲田鶴巻町518 司ビル3F
 国際ビジネス研究センター内
連絡先 e-mail info@career-design.org  
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