キャリアデザインマガジン 第177号

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□    キャリアデザインマガジン 第177号 2025年4月20日発行
     日本キャリアデザイン学会 https://career-design.org
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 「キャリアデザインマガジン」は、キャリアに関心のある人が楽しく読める
情報誌をめざして、日本キャリアデザイン学会がお送りするオフィシャル・
メールマガジンです。会員以外の方にもご購読いただけます。
 ※等幅フォントでご覧ください。文中敬称略。

□ 目 次 □———————————————————–

1 学会からのお知らせ

2 キャリア辞典 『ストレスチェック』

3 私が読んだキャリアの1冊
『未来を拓く キャリア・デザイン講座』
                山ざき京子 著, 平林 正樹 著

4 キャリアイベント情報等
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1 学会からのお知らせ

◆あつまれ、キャリアデザイン学の教科書!
テーマ:問いから考える人材マネジメントQ&A
開催日時:2025年5月19日(月)19:00~20:30
開催方法:オンライン、会員限定

【詳細】
第2回目は、八代充史, 梅崎修, 倉重公太朗, 吉川克彦(共編著)『問いから
考える人材マネジメントQ&A』(中央経済社,2024年)を取り上げて会員の皆さ
んと議論をしたいと思います。
職業キャリアや組織キャリアを研究したり、講義したりする場合、人事制度や
働くルールの理解は欠かすことはできません。ところが、キャリア教育の実践
の場で、企業の経験がない学生たちに、「人事」を理解してもらうのは難しい
と言えましょう。この教科書は、実務家にも執筆者に入ってもらい、Q&A方式
で学ぶ形式で書かれています。
このような形式で学ぶ意味、教科書の使い方について編者の2名が登壇し、報
告・議論をしたいと思います。

司会:平尾 智隆(摂南大学経済学部)
登壇者:八代 充史(昭和女子大学大学院 福祉社会・経営研究科)
    梅崎 修(法政大学キャリアデザイン学部、当学会副会長)
参加費:無料(会員限定)
申込詳細:https://career-design.org/conference/20250519/
申込フォーム:

申込みフォーム


会員ログインの上、お申し込みください。

◆第21回 研究大会
第21回研究大会は、「創造的復興とキャリアデザイン:未来の地域づくりのた
めにキャリアデザインができること」を大会テーマとして、9月6日(土)・
7日(日)に開催いたします。今大会は、開志専門職大学(新潟市)を会場と
して対面のみの開催といたします。
大会に関する詳細な情報は、学会HPにてお知らせします。HPは随時更新いたし
ますので、是非ご覧ください。
(1)日時 2025年9月6日(土)・7日(日)
(2)会場 開志専門職大学(新潟市)(対面開催)
(3)大会テーマ
「創造的復興とキャリアデザイン:未来の地域づくりのためにキャリアデザ
インができること」

◆自由研究発表の募集について
大会に際して自由研究発表の募集を行います。発表種別は、「研究報告」「実
践報告」と、発表区分は、「キャリアデザイン学」「キャリア教育」「学生・
生徒とキャリア」「企業内キャリア」「労働市場とキャリア」「ダイバーシテ
ィとキャリア」「多様な働き方とキャリア」「その他」を設定しております。
募集の締め切りは、2025年5月7日(水)です(締め切り厳守)。プログラムの
関係上、第一発表者としてのお申し込みはおひとりにつき、1件までにてお願
いいたします。発表可否の審査結果については、6月上旬頃までにメールにて
回答いたします。
皆様の申し込みをお待ちしております。詳細に関しましては学会HPをご覧く
ださい。

◆連絡先および会員種別に変更のあった方へ
新年度(4月)となり、メールアドレスなど、連絡先に変更が生じた方もいら
っしゃると思います。
該当される方は、会員サイト内の「会員情報確認/変更」より、ご自身で変更
をお願いします。
また、現在、会員種別「正会員(大学院生)」ならびに「学生会員」の方で、
卒業により変更がある方は、「info@career-design.org」までご連絡くださ
い(5月末までにお願いします)。

◆HR Buddy研究所の研究助成について
HR Buddy研究所より、研究助成の案内がありました。
ご興味ある方は、以下のサイトより内容をご確認ください。
https://sunny-enterprise.com/information/
助 成 金:30万円(人件費、設備費、消耗品費、旅費などに使用)
公募期間:2025年3月1日~2025年5月18日
※問い合わせ等は、直接HR Buddy研究所へお願いします。

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2 キャリア辞典

       ストレスチェック

ストレスチェックは、労働者の心理的な負担の程度を把握し、ストレスへの気
付きを促進することを目的とした制度であり、2015年に労働安全衛生法に基づ
いて義務化されました。一定規模以上の事業者には、ストレスチェックの実施
が義務付けられており、従業員50人未満の事業場については努力義務とされて
います。(※政府は2025/3/14、50人未満の事業場も義務化する内容を盛り込
んだ労働安全衛生法の改正案を閣議決定。今国会で改正法が成立すれば、公布
から3年以内に施行される予定。)以下では、ストレスチェック制度の概要、
実施体制、運用上の課題について整理します。

1. ストレスチェック制度の概要
ストレスチェックは、医師や保健師などによる心理的負担の評価を行う検査で
す。実施後、検査結果を通知された労働者が希望すれば、医師による面接指導
が実施され、その結果を踏まえて必要な就業上の措置(作業の転換、労働時間
の短縮など)が講じられます。また、国はストレスチェックを実施する医師や
保健師に対する研修の強化、労働者への相談・情報提供体制の整備を推進して
います。

2. ストレスチェックの実施体制と運用
A. 実施体制
・実施者:医師、保健師、または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師
 や精神保健福祉士が担当。
・実施事務従事者:実施者の指示のもと、ストレスチェックのデータ入力や管
 理などの事務業務を担当。
・プライバシー保護:ストレスチェックの結果が人事上の不利益に利用される
 ことを防ぐため、人事権を持つ管理職(経営層や人事部長など)は、実施事
 務に関与できない。

B. ストレスチェックの実施方法
ストレスチェックでは、以下の3つの質問項目を含む調査票を使用することが
義務付けられています。
・ストレスの原因に関する質問
・ストレスによる心身の自覚症状に関する質問
・労働者に対する周囲のサポートに関する質問

厚生労働省は「職業性ストレス簡易調査票」の使用を推奨しており、調査票に
は以下の2種類があります。
・57項目版(簡易版)
1.仕事に関する質問
2.最近1カ月間の心理状態
3.職場の人間関係
4.仕事への満足度

・80項目版(詳細版)
57項目版の内容に加え、
5.仕事の負担・責任の重さ
6.職場環境
7.会社や組織に関する質問
8.仕事の状況や成果

C. ストレスチェックの結果と対応
検査結果は第三者や管理職による閲覧が禁止され、実施者または実施事務従事
者が管理します。
実施者はストレスの程度を評価し、労働者に結果を通知。高ストレス者には面
接指導の必要性を伝え、希望者には医師の面接指導を実施。
面接指導後、医師の意見をもとに必要な就業上の措置を検討・決定。
集団分析を行い、職場環境の改善を図ることが推奨されている。ただし、組織
の規模が10名以下の場合は、プライバシー保護のため分析対象から除外。

3. 課題と今後の展望
A. 労働者の積極的な参加の促進
ストレスチェック制度は、労働者自身がストレスに気付き、未然に防ぐことを
目的としています。しかし、実施後の具体的なアクション(面接指導の申し出)
は労働者本人に委ねられており、心理的なハードルが高いのが実情です。特に、
周囲に相談しにくい環境では、支援を受ける機会が限られてしまう可能性があ
ります。

B. ハラスメント対応の課題
80項目版の調査票には「職場で自分がいじめにあっている(セクハラ、パワハ
ラを含む)」という設問があります。しかし、仮に労働者が「YES」と回答し
ても、現行制度では事業者側がその事実を知ることができず、適切な対応を取
ることができません。このため、労働者はSOSを発信しているつもりでも、実
際には支援が届かないという問題が発生しています。

C. より柔軟かつ迅速な対応の必要性
現行制度では、労働者のプライバシーを保護するために、事業者が直接ストレ
スチェック結果に介入することは制限されています。しかし、メンタルヘルス
ケアの観点からは、より柔軟で迅速な対応が求められます。
例えば、ハラスメントの訴えがあった場合に、本人の同意を得た上で迅速に対
応できる仕組みを設けることが望ましいでしょう。また、ストレスチェックの
結果を職場の環境改善に活かし、労働者が安心して働ける体制を整えることが
重要です。

4. まとめ
ストレスチェック制度は、労働者のメンタルヘルスを守る重要な仕組みですが、
実施後の対応においていくつかの課題が存在します。労働者がストレスを自覚
しやすくする工夫や、ハラスメント問題に対する柔軟な対応策を導入すること
で、より実効性の高い制度となることが期待されます。今後は、ストレスチェ
ックの結果を活用した職場改善や、適切なラインケアの促進が求められるでし
ょう。

                         (編集委員 相澤修)

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3 私が読んだキャリアの1冊

         『未来を拓く キャリア・デザイン講座』
                    山ざき京子 著(「ざき」は山へんに立・可)
                    平林 正樹 著 中央経済社 2018/8/28

本書「未来を拓く キャリア・デザイン講座」は、キャリア形成に関する理論
を実践的なワークブック形式で学べる書籍である。本書の対象は大学生、専門
学校生とあるが、社会人にも学べる点がある。各章を通じて、自己理解やコミ
ュニケーション、組織での働き方、キャリアの理論などが体系的に解説されて
いる。

本書の構成は8章から成り立っている。
「第1章:キャリアとは」では、キャリアは単なる職業選択ではなく、人生全
体を見据えた設計とある。本章では、キャリアの概念や重要性について説明さ
れ、長期的な視点を持つことの大切さが述べられている。

「第2章:自己理解」では、自己分析はキャリア形成の基盤とある。過去の経
験や価値観を整理し、自分の強みや適性を見極める方法が紹介されている。
ワークを通じて、自身の特性を客観的に把握できるようになっている。

「第3章:人間関係とコミュニケーション」では、職場や社会での円滑なコミ
ュニケーションの重要性が述べられている。対人関係の構築方法や、効果的な
コミュニケーションスキルが具体的に解説されている。

「第4章:組織と仕事」では、組織の中での役割や働き方について考察し、チ
ームワークやリーダーシップの重要性が述べられている。組織の構造を理解し、
適応するためのポイントが示されている。

「第5章:これからのキャリア」では、変化の激しい現代社会において、柔軟
なキャリア形成が求められている。本章では、キャリアの選択肢を広げる方法
や、長期的なキャリアビジョンの構築について解説されている。

「第6章:グループディスカッションのスキル」では、グループディスカッシ
ョンの進め方や、効果的な議論の方法が紹介されている。意見をまとめる力や、
協力して問題解決を図るスキルを身につけるための実践的な内容が含まれてい
る。

「第7章:グループ・アクティビティで学ぶキャリア・デザイン」では、
キャリア・デザインを学ぶためのグループワークの活用方法が解説されている。
実際のワークショップの事例を交えながら、キャリア形成に役立つ活動が紹介
されている。

「第8章:キャリアの理論」では、キャリアに関する主要な理論が整理され、
実践への応用方法が示されている。キャリア理論を理解することで、より戦略
的にキャリアを設計できるようにとある。

最後に私、人事の視点から見ると、従業員のキャリア・デザインを支援する上
で有益な内容が多く含まれている様に感じる。特に、自己理解やコミュニケー
ション、組織適応力を養う章は、人材育成に直結するように思われる。また、
キャリアの理論やグループワークの活用方法は研修にも応用可能だと思われる。
組織の長期的な成長のために、社員が主体的にキャリアを築ける環境を整える
ヒントが詰まった一冊であるといえる。

                        (編集委員 高橋基樹)

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4 キャリアイベント情報等

◆セミナー「大人の「しごと」教室 5つテーマ」
 主 催 東京都社会保険労務士会
 日 時 2025年3月21日(金)10:00~2025年5月30日(金)17:00
 方 式 オンライン(Youtubeによる限定公開)
 詳 細 https://www.tokyosr.jp/topics/2024/59842/

◆セミナー「人材の定着につながる!中小企業のための 福利厚生・年金制度
      活用術」
 主 催 東京商工会議所
 日 時 2025年5月2日(金)14:00~16:00
 方 式 オンライン(Zoom)
 詳 細 https://myevent.tokyo-cci.or.jp/detail.php?event_kanri_id=205248

◆セミナー「ジョブ・カードを使って描こう!自分らしいキャリア」
 主 催 熊本キャリア形成・リスキリング支援センター
 日 時 5月7日(水)10:30~11:30
 方 式 オンライン
 詳 細 https://carigaku.mhlw.go.jp/eventsch/127518/

◆シンポジウム「男女雇用機会均等法成立40周年─日本社会のこれまでと
        これから」
 主 催 21世紀職業財団
 日 時 2025年5月16日(金) 14:00~16:45
 方 式 会場(都内渋谷区)とオンライン、参加無料、要事前登録。会場は
     先着50名
 詳 細 https://www.jiwe.or.jp/event/symp2025-02

◆セミナー「育休復職者セミナー ~男女共に 子育てと両立しながら、自分
                 らしいキャリアを形成するために」
 主 催 21世紀職業財団
 日 時 5月23日(金)13:30~15:00
 方 式 オンライン(Zoom)
 詳 細 https://www.jiwe.or.jp/application/files/8017/4312/3648/5.23_0327.pdf

◆セミナー「セルフケア・ライフケア講座」
     ・前向きに仕事に取り組むためのコミュニケーション・セルフケア
      手法
     ・若手の生産性向上に繋がる!実践的なラインケア・コミュニケー
      ション手法
 主 催 東京都中小企業新興公社
 日 時 2025年6月26日(木)13:00~17:00
     2025年6月27日(金)13:00~17:00
 方 式 オンライン(Zoom)
 詳 細 https://www.tokyo-kosha.or.jp/topics/2506/0004.html

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【編集後記】
 4月は、学校や多くの企業で新年度を迎え、新たなキャリアをスタートされ
る方も多い季節。東京では桜の開花宣言後に真冬のような寒さが戻り驚かされ
ましたが、そのおかげでいつもより長く咲く桜は、いつもより多くの門出をお
祝いしてくれているようでした。(H)

・キャリアを設計・再設計し続ける人々の育成を考える非営利組織です。
・キャリアに関わる実務家や市民と研究者との出会い・相互啓発の場です。
・多様な学問の交流からキャリアデザイン学の構築を目指す求心の場です。
・キャリアデザインとその支援の理論と実践の連携の場です。
・誤謬、偏見を排除し、健全な標準を確立する誠実な知的営為の場です。
・キャリアデザインに関わる資格、知識、技法、専門の標準化の努力の場です。
・人々のキャリアの現実に関わり、変えようとする運動の場です。

 学会の詳細、活動状況はホームページに随時掲載しております。
 ◆日本キャリアデザイン学会ホームページ◆
  https://career-design.org 

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  日本キャリアデザイン学会(CDI-Japan)発行
  オフィシャル・メールマガジン【キャリアデザインマガジン】

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【日本キャリアデザイン学会広報委員会】

相澤 修 株式会社ダイナム
 石川 了 労務行政研究所(株式会社労務行政)
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梶田マリ
 小室銘子 株式会社パーソル総合研究所
 高橋基樹 日本無線株式会社
 堀内泰利 筑波大学
 松岡 猛 NECライフキャリア株式会社
 山下弘晃 東武不動産株式会社
 山野晴雄 元・桜華女学院(現・日本体育大学桜華)高等学校

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 〒162-0041 東京都新宿区早稲田鶴巻町518 司ビル3F
 国際ビジネス研究センター内
連絡先 e-mail info@career-design.org  

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