キャリアデザインマガジン 第175号

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□    キャリアデザインマガジン 第175号 2024年12月25日発行
     日本キャリアデザイン学会 https://career-design.org
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 「キャリアデザインマガジン」は、キャリアに関心のある人が楽しく読める
情報誌をめざして、日本キャリアデザイン学会がお送りするオフィシャル・
メールマガジンです。会員以外の方にもご購読いただけます。
 ※等幅フォントでご覧ください。文中敬称略。

□ 目 次 □———————————————————–

1 学会からのお知らせ

2 キャリア辞典 『働かないおじさん』

3 私が読んだキャリアの1冊
『なぜ地方女子は東大を目指さないのか』
                        江森 百花, 川崎莉音 著

4 キャリアイベント情報等

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1 学会からのお知らせ

◆2024年度 第2回キャリアデザインライブ!
テーマ:氷上の挑戦者たち プロアイスホッケーチーム「横浜GRITS」が描く、
アスリートたちの未来
開催日時:2025年1月15日(水)19:00~20:30
開催方法:オンライン

【詳細】
本イベントでは、横浜GRITSのGMである御子柴氏にチームの理念からデュアル
キャリアプログラムの内容、今後の横浜GRITSの展開などを、そして実際にデ
ュアルキャリアを体現している横浜GRITSプロアイスホッケー選手たちにも現
場の生の声もお伺いしながら、皆さんとキャリアデザインについて考えてい
きたいと思っています。
プロスポーツの世界とキャリアデザインの融合、アスリートの未来像を考え
る貴重な機会です。皆様のご参加をお待ちしています。
登壇者:
・御子柴 高視(横浜 GRITS 共同代表 GM、
EIGHT ROADS VENTURES JAPAN ベンチャーパートナー)
・運上 雄基(横浜GRITS #12 FW、日本管財ホールディングス株式会社)
・濱島 尚人(横浜GRITS #5、株式会社セールスフォース・ジャパン)
・権平 優斗(横浜GRITS FW、ソフトバンク株式会社)
・務台 慎太郎(横浜GRITS DF、エバラ食品工業株式会社)
聞き手:高橋 実(当学会研究会企画委員会委員、
株式会社ティーブリッジェズカンパニー 代表取締役)
参加費:会員/無料、非会員/無料
申込詳細:https://career-design.org/conference/20250115/
申込フォーム:https://career-design.org/eventform/?EVID=dcba190e907629f4429e43a4f2f3c2df
会員の方は、会員ログインの上、お申し込みください。

◆関西支部第12回研究大会
日 時 2025年3月29日(土)13:00~16:40[受付12:40~]
開催方法:対面
場 所 大阪教育大学天王寺キャンパス
  https://osaka-kyoiku.ac.jp/campus_map.html
  ※柏原キャンパスではなく天王寺キャンパスです。ご注意ください。

【詳細】
今回も以下3 件、興味深い発表が予定されています。関西支部会員の皆さまは
もちろん、他府県の皆さまもご参加ください。役員一同、心よりお待ちしてお
ります。
※研究発表の募集は終了いたしました。

テーマと発表者
(1)「キャリア教育との連携を目指したアントレプレナーシップ教育の展開
   ~和歌山大学アントレプレナーシップデザインセンターの取り組み~」
 田代 優秋(和歌山大学アントレプレナーシップデザインセンター)
(2)「キャリア形成科目群 実施の成果と課題の検討」
 松川 晴美(関西大学)・杉本 英晴(関西大学)
(3)「現職教員のキャリアに関する研究~「教職キャリア」形成の検討~」
 平井 美幸(大阪教育大学)・橋弥 あかね(大阪教育大学)
参加費:会員/無料、非会員/無料
 ※研究大会は学会を知ってもらうため、非会員の方も無料で参加できます。
申込詳細:https://career-design.org/conference/20250329/
申込フォーム:https://career-design.org/eventform/?EVID=7f83740076e90511b800f9b2ceb52782

申込締切:2025 年3 月23 日(日)23:59 まで 定員50 名
参加申し込みは先着順のため、上限に達した場合は申込期間中であって
も受付を中止することがあります。
防犯対策のため、来場者のご氏名を会場校(大阪教育大学)に提出する
必要があります。あらかじめご同意の上、お申し込み、ご参加ください。
当日の飛び込み参加は受付できませんのでご了承ください。

お問い合わせ
日本キャリアデザイン学会関西支部第12 回研究大会事務局
平井 美幸(大阪教育大学)・本庄 麻美子(和歌山大学)・湯口 恭子(近畿
大学)

◆キャリア研究・政策・国際交流委員会/第26回中京支部研究会
 「キャリアの本棚~国際×キャリア編~」
第1回を秩父で実施し大好評だった「キャリアの本棚」が名古屋にやってきま
す!
そろそろ対面で地域の場作りをしませんか?キャリア研究・政策・国際交流
委員会と中京支部が共催で,第26回中京支部研究会を「キャリアの本棚~国
際×キャリア編~」と題して実施します。登壇者の書籍紹介を通して参加者
同士交流し,新たな視点や人との出会いをサポートします。
中京支部として初めての取り組みですが,「キャリアの本棚」ってなに?
国際×キャリアって?外国をテーマとしたキャリア研究でどんなものがある?
と思ったみなさまは,ぜひ気軽にご参加ください。

開催日時:2025 年3月4日(火)18:30~20:30ごろ(受付18:15~)
開催方法:対面開催
場所:名古屋市内(オンライン配信については検討中)
参加費:無料
詳細は,HPにて後日掲載予定

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2 キャリア辞典

働かないおじさん

「働かないおじさん」とは、主に中高年の男性社員を指す言葉で、業務におい
て目立った成果が出せず、組織内での存在感が薄れた状態にある人々を意味し
ます。この言葉は一見、個人のやる気や能力不足を問題視するもののように受
け取られがちですが、実際には個人だけでなく、職場環境や組織のマネジメン
ト体制、企業文化など、さまざまな要因が複雑に絡み合った現象を意味します。

■背景
 この現象が顕在化する背景には、日本の雇用慣行と社会構造の変化が深く関
わっています。高度経済成長期やバブル期に採用された世代の多くは、終身雇
用や年功序列といった雇用制度の恩恵を受け、比較的安定したキャリアを歩ん
できました。しかし、経済のグローバル化や技術革新に伴い、企業を取り巻く
環境が劇的に変化する中で、従来の経験やスキルが陳腐化し、新たな役割への
対応が求められるようになりました。このような変化についていけない社員が
「働かないおじさん」と見なされるケースが増えています。

■職場環境やマネジメントの問題
 「働かないおじさん」現象の背後には、個人の問題だけではなく、職場や組
織のマネジメントにも課題があります。具体的には以下のような状況が挙げら
れます。
 ●適切な目標設定の欠如:
   上司(特に年下上司)が中高年社員に対して適切な役割を与えられず、
   本人のスキルや経験を活かせない。
 ●リスキリング機会の不足:
   企業が中高年社員向けのスキルアップやキャリア支援する仕組みを十分
   に用意していない。
 ●年齢バイアスの存在:
   中高年社員が変化への適応が難しいと先入観を持たれ、重要なプロジェ
   クトや新しい役割を与えられない。

これらの要因が重なり、社員が「働かない」状態に陥ることがあります。これ
は、社員自身が「もう自分は必要とされていない」と感じ、やる気を失う悪循
環を引き起こすことにもつながります。

■ジェンダー視点での広がり
 「働かないおじさん」という言葉は男性社員を対象とすることが多いですが、
ジェンダー平等が進む中で、この現象は性別を問わないものになりつつありま
す。以前は、女性社員が結婚や出産を機に職場を離れるケースが多く、「働か
ない」という状況が目立ちにくい側面がありました。しかし、女性のキャリア
継続が一般化する現在では、女性が同様の問題に直面することも増えています。
「働かないおじさん・おばさん」という形で、性別を超えた課題として認識さ
れるべき段階に来ていると言えるでしょう。

■解決に向けた取り組み
 この問題を解決するには、個人と組織の双方が取り組むべき課題があります。
 1.リスキリングとキャリアデザイン
   中高年社員が時代に合ったスキルを身につけるための育成機会を提供す
   ることが重要です。オンライン講座や社内研修を活用し、新たな価値を
   生み出すための支援が必要です。
 2.公平な評価と役割の見直し
   年齢や過去の実績にとらわれず、現在の貢献度や潜在能力を適切に評価
   する仕組みを整えることが求められます。役割の新たに見直すことによ
   り、本人が価値を発揮しやすい環境を作ることも可能です。
 3.ダイバーシティとインクルージョンの推進
   職場全体で多様性を尊重し、全社員が能力を発揮できる文化を醸成する
   ことが必要です。これにより、年齢や性別に関係なく全員が働きやすい
   職場を実現できます。
 4.心理的安全性の確保
   社員が自らのキャリアについて上司や同僚、またキャリアカウンセラー
   と率直に話し合える環境を整えることも重要です。心理的安全性が高ま
   ることで、社員が主体的に行動する意欲が高まります。

「働かないおじさん」は単なる個人の問題ではなく、職場全体の課題を映し出
す現象です。この現象を改善することは、持続可能なキャリア形成や組織の競
争力強化につながります。中高年社員をどう活かすかという問いは、特に少子
化、労働力不足がほぼ全ての業界で問題になっている中、これからの社会にお
いて普遍的な課題として取り組むべきテーマです。

       
                         (編集委員 山下弘晃) 

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3 私が読んだキャリアの一冊

  『なぜ地方女子は東大を目指さないのか』

                         江森 百花, 川崎莉音著
                         光文社新書 2024/8/20

 『なぜ地方女子は東大を目指さないのか』の著者は、二人とも現役の東大女
子学生で、高校時代までを地方で過ごしている。そんな二人が、おおよそ首都
圏男子・首都圏女子・地方男子・地方女子に区分した場合の志向の違いを、デ
ータやヒアリング結果に基づき分析し、提言をしているのが本書だ。
私自身は「首都圏女子」に該当するものの、思い返してみれば幼少期から周囲
には「東大は男性が多い」、「理系は男性が得意」といった情報が溢れていた
ように思うし、同学年の女子で浪人したのは、ごく少数だったと記憶している。
きっと多くの時間を首都圏で育った私ですら、無意識のうちに男女の違いを普
通のこととして受け止めてきたのではないだろうか。そんな思いの中で読み進
めていくことになった。

 第2章では、難関大学を目指さない地方女子の存在を明らかにする。著者の
1人が通っていた高校では、入学時点では男女の学力には差がないため、学力
的に目指せないのではなかった。しかし、実際に東京大学を志望する女子の人
数は、男子の半分以下に留まる。ここでのアンケートからは、地方女子が、難
関大に進学することが将来的に有利であると感じにくい傾向があることが明ら
かになっている。
第3章以降では、「原因の探究」として、なぜ地方女子が難関大学を目指さな
いかを解いていく。地方女子の傾向として、1.資格の取得を重視すること、
2.男子よりも自己評価が低いこと、3.安全志向であることを明らかにしている。
私が意外に思ったのは、「自己評価の低さ」だった。本書では、地方から東大
に進学するロールモデルの少なさや、メディアに取り上げられるステレオタイ
プの東大生の印象(変わった人、男性)が印象づけられていることが理由に挙
げられており、これは私にとって新たな気づきとなった。

 第6章以降では、保護者からの男女への期待の違いが挙げられている。男子
学生には難関大学を推奨するが、女子学生にはそこまでの期待が寄せられず、
子どもへの教育投資の傾向の違いが見られる、というものだ。背景には誤った
認識(高学歴・高収入の女性が結婚市場に置いて敬遠される、首都圏は治安が
悪く女子学生の一人暮らしが危険)が、保護者世代に深く根付いていることが
挙げられる。こういった誤解を解消していく取り組みが、難関大への進学の後
押しのためには求められるだろう。

 私自身が最も関心を寄せたのは「おわりに」として、著者が「地方女子学生」
「保護者」「教育関係者」「メディア」等に分けて送っているメッセージだ。
単にデータを示すことだけでなく、また、単なる世の中への批判でもなく、こ
れからに向けた提言がしっかりとされており、どれも納得性が高いものだった。
東大あるいは難関大学に進む女子学生を増やすことが目先の目的ではないが、
女子学生が何のためらいもなく希望する進路を選択できる環境が整うことを願
う。

                         (編集委員 梶田マリ) 

 ※「私が読んだキャリアの一冊」は、執筆者による図書の紹介です。
 日本キャリアデザイン学会として当該図書を推薦するものではありません。

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4 キャリアイベント情報等

◆セミナー「離職を止める!脱・採用偏重」
 主 催 東京商工会議所
 日 時 2024年11月29日(金)~2025年1月31日(金)12:00~23:59
 方 式 オンラインセミナー(YouTube動画配信)
 詳 細 https://myevent.tokyo-cci.or.jp/detail.php?event_kanri_id=204594

◆養成講座「職場内障害者サポーター」

 主 催 東京しごと財団
 日 時 2025年1月8日(水)+15日(水)or 1月22日(水)+29日(水)
     2025年2月5日(水)+12日(水)or 1月13日(水)+20日(水)
 方 式 1月22日+29日はオンライン、他の回は各会場(東京)
 詳 細 https://shougaisya-support.jp/schedule/

◆シンポジウム「価値とイノベーションの創発による福祉システムの構築」
 主 催 日本学術会議
 日 時 2025年1月11日(土)13:00~16:00
 方 式 オンライン
 詳 細 https://www.scj.go.jp/ja/event/2025/373-s-0111.html

◆フォーラム「シニア層の労働移動」
 主 催 独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)
 日 時 第1部 2025年1月8日(水曜)~15日(水曜)オンデマンド配信
     第2部 2025年1月15日(水曜)14時00分~16時50分 ライブ配信
 方 式 オンライン
 詳 細 https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250115/index.html

◆セミナー「評価制度で人が成長し定着する会社になる!」
 主 催 公益財団法人東京都中小企業振興公社
 日 時 2025年1月15日(水)13:30~16:30
 方 式 オンライン
 詳 細 https://www.tokyo-kosha.or.jp/topics/2501/0001.html

◆セミナー「がんになった従業員の 治療と仕事の両立支援セミナー」
 主 催 東京都社会保険労務士会
 日 時 2025年1月21日(火)14:00~16:00
 方 式 リアル、オンライン
 詳 細 https://www.tokyosr.jp/topics/2024-topics/58774/

◆セミナー「馬渕磨理子に聞く!日本経済とお金のミライ」
 主 催 東京商工会議所
 日 時 2025年1月25日(土)14:00~15:30
 方 式 リアル、オンライン
 詳 細 https://myevent.tokyo-cci.or.jp/detail.php?event_kanri_id=204440

◆シンポジウム「健康いきいき職場づくりフォーラム 成果発表」
 主 催 公益財団法人日本生産性本部
 日 時 2025年2月6日(木)13:30~17:00
 方 式 オンライン
 詳 細 https://www.jpc-net.jp/seminar/detail/007137.html

◆フォーラム「ライフ・ワーク・バランスEXPO 東京」
 主 催 東京都
 日 時 2025年2月6日(木)10:00~18:00
 方 式 リアル+オンライン展示会
 詳 細 https://lwb-expo-2025.metro.tokyo.lg.jp/

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【編集後記】
 今年もあとわずかになりました。新たな年、2025年の干支の蛇は、皮を脱ぎ
捨て新たな姿に生まれ変わる姿がその象徴です。キャリアに置き換えると、新
しい挑戦や変化に前向きな年なのかもしれません。今年も一年間、ありがとう
ございました。皆様、良い年をお迎えください(H)

・キャリアを設計・再設計し続ける人々の育成を考える非営利組織です。
・キャリアに関わる実務家や市民と研究者との出会い・相互啓発の場です。
・多様な学問の交流からキャリアデザイン学の構築を目指す求心の場です。
・キャリアデザインとその支援の理論と実践の連携の場です。
・誤謬、偏見を排除し、健全な標準を確立する誠実な知的営為の場です。
・キャリアデザインに関わる資格、知識、技法、専門の標準化の努力の場です。
・人々のキャリアの現実に関わり、変えようとする運動の場です。

 学会の詳細、活動状況はホームページに随時掲載しております。
 ◆日本キャリアデザイン学会ホームページ◆
  https://career-design.org 

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を利用して発行しています。
 配信中止はこちら https://www.mag2.com/m/0000140735
 無断転用はお断りいたします。
 このメールマガジンの文責はすべて執筆者にあり、日本キャリアデザイン学
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【日本キャリアデザイン学会広報委員会】

相澤 修 株式会社ダイナム
 石川 了 労務行政研究所(株式会社労務行政)
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梶田マリ
 小室銘子 株式会社パーソル総合研究所
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 堀内泰利 筑波大学
 松岡 猛 NECライフキャリア株式会社
 山下弘晃 株式会社パソナ
 山野晴雄 元・桜華女学院(現・日本体育大学桜華)高等学校
 

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 〒162-0041 東京都新宿区早稲田鶴巻町518 司ビル3F
 国際ビジネス研究センター内
連絡先 e-mail info@career-design.org  

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