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□ キャリアデザインマガジン 第126号 平成28年6月3日発行
日本キャリアデザイン学会 http://www.career-design.org/
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「キャリアデザインマガジン」は、キャリアに関心のある人が楽しく読める
情報誌をめざして、日本キャリアデザイン学会がお送りするオフィシャル・
メールマガジンです。会員以外の方にもご購読いただけます。
※等幅フォントでごらんください。文中敬称略。
□ 目 次 □———————————————————–
1 学会からのお知らせ
2 キャリア辞典「クールビズ」
3 私が読んだキャリアの1冊
(1)池谷裕二『脳には妙なクセがある』
(2)稲葉振一郎『不平等との闘い』
4 キャリアイベント情報
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1 学会からのお知らせ
◆2016年「キャリアデザインライブ!」第3回を開催します。
日 時 2016年6月24日(金)19:00~20:30
テーマ 「寺院消滅時代の生涯キャリアデザイン」
講 師 鵜飼秀徳氏(浄土宗正覚寺副住職、ジャーナリスト・僧侶)
場 所 法政大学市ヶ谷キャンパス 58年館2階 キャリア情報ルーム
(東京都千代田区)
定 員 先着30名
参加費 会員/無料、一般/3,000円(事前申込制)
詳細・申し込みは学会ホームページをご参照ください。
http://www.career-design.org/pub/t067.html
◆第8回中京支部研究会(大会プレ企画)を開催します。
日 時 2016年7月9日(土)14:30~17:00
テーマ 「職業高校における人づくりと学びの場づくり」
講 師 服部文彦氏(愛知県立一宮商業高等学校)
松本禄生氏(愛知県立松平高等学校)
場 所 名古屋大学教育学部2階第3講義室(愛知県名古屋市)
定 員 50名
参加費 会員/無料、 一般/3,000円(事前申込制)
※終了後に懇親会を開催します(会費3,000円~4,000円)
詳細・申し込みは学会ホームページをご参照ください。
http://www.career-design.org/pub/sonota.html#08
◆2016年「キャリアデザインライブ!夏のスペシャル」を開催します。
日 時 2016年7月16日(土)14:30~17:00
テーマ 「ドラムサークル!を体感する! ~リズム・ビートとキャリア
デザイン」
講 師 橋田“ぺッカー”正人氏(ミュージシャン、ドラムサークルファ
シリテーター協会理事長(http://dcfa.jp/)、
場 所 東京スポーツ文化館(BunB)ミュージックスタジオB
(東京都江東区)
定 員 先着40名
参加費 会員/無料、一般/3,000円(事前申込制)
詳細・申し込みは学会ホームページをご参照ください。
http://www.career-design.org/pub/t068.html
◆第13回研究大会の日程・会場・テーマが決定しました。
日 時 2016年9月10日(土)・11日(日)
会 場 愛知教育大学(愛知県刈谷市井ヶ谷町広沢1)
大会テーマ
『豊かなキャリアのための「学びの場」の創造 ~人づくりのこれから~』
◆学会監修『キャリアデザイン支援ハンドブック』好評発売中!
キャリアデザイン学会が総力をあげた解説書!
近年大きく広がっているキャリアデザイン支援、その基礎知識と理論・手法、
実践におけるポイントを解説し、先進事例を紹介した関係者・実務家必携の文
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2 キャリア辞典
「クールビズ」
■梅雨入り宣言とクールビス
去る5月16日、気象庁は、沖縄・奄美地方の梅雨入りを宣言した。例年より3
~4日早い梅雨入りとなり、日本列島を南から北まで、梅雨前線が徐々に北上
する。今年もうっとうしい季節の到来である。
働き始めたころ、この季節に外歩きをすると、いつもネクタイを緩めていた。
扇子を持ち歩く習慣もなかったので、取材先で人目もはばからずに書類やノー
トで顔を煽いでいたのだと思う。時には、仲間と示し合わせて、金曜日を勝手
にカジュアルデーにして、ポロシャツ通勤をしたら、やんわり上司に咎められ
た記憶もある。つまり、つい最近まで、“背広にネクタイ”は、サラリーマン
(今ではビジネスパーソン)の定番ファッションだった。「日本では、梅雨と
いう高温多湿の季節があるのに、ネクタイで首を絞めるなんぞ、ナンセン
ス!」。半分恨みにも似た気持ちで、諦めて通勤したものである。
そんな折、地球温暖化の背景もあり、小泉内閣時代の2005年に、「夏場の軽
装による冷房の節約」をキャッチフレーズに環境省主導のもと、ネクタイや上
着をなるべく着用せず、夏場(当初は6月1日~9月末)に摂氏28度以上の室温に
対応できる軽装を着用するように呼びかけた活動が始まった。これが、いわゆ
る「クール・ビズ」(COOL BIZ)である。その語源は、「涼しい」や「格好い
い」という意味のクール(cool)と、いわゆるビジネス(business)の短縮形
である、ビズ(BIZ)をつなぎ合わせたもの、であるという。なお、スタート
時期は、2011年の東日本大震災、そして東京電力福島第一原発での事故後の電
力不足を契機に5月1日となっているが、期間は都道府県や企業等により、やや
違いがある。
■クールビズの実施率とネクタイの起源
まず、企業における現状の実施率だが、労務行政研究所の「人事労務諸制度
実施状況調査」(2013年)によると、2007年段階での「クールビズ」の実施率
は59%だったが、2010年には76%と17ポイントも増加。その後、2013年では88
%とさらに12ポイント増加した。環境省の直近の情報によると、現状では約9
割の企業が実施しているのではないかという。
ところで、クールビズが普及することに、筆者はまったく異存はないのであ
るが、そもそもなぜネクタイや背広が広まったのか。今回はネクタイの起源に
迫ってみる。
2世紀初頭のローマ。兵士たちの防寒具として用いられていた「フォーカ
ル」と呼ばれる布がネクタイの最も古い起源とされている(戦地からの無事を
祈って女性や子供たちから贈られた首に巻く布、という説もある)。
その後しばらくは現在のネクタイの原型となるようなものは現れなかったが、
17世紀のルイ14世の時代に、クロアチア兵がフランスを訪れた際、首に巻いて
いたスカーフが現在のネクタイの原型として初めて登場したのだ、という。
一方、日本におけるネクタイの歴史は、江戸時代末期の1851年にジョン万次
郎(中濱万次郎)によって、アメリカから持ち帰られ着用されたのが始まりと
される。言うまでもなく、中濱万次郎は、土佐の漁師の出であったが、船が難
破したことをきっかけにアメリカに渡り、英語・数学・測量・航海術・造船技
術などを学んで、日本に持ち帰った。土佐に帰郷後、藩の士分に取り立てられ、
藩校の教授に任命され、後藤象二郎、岩崎弥太郎らを指導した人物としても有
名。
その後、明治期になって1884年、小山梅吉によって国産第一号の蝶ネクタイ
が生産され、しばらくはこの蝶ネクタイが主流であった。大正末期から昭和初
期にかけて日本人の洋装文化もかなり普及し、それに合わせてネクタイも一般
大衆へ広まっていくことになった、という(このへんの事情は、東京ネクタイ
協同組合など、衣料関係のホームページに詳しい)。
■クールビズの歴史は案外長かった!
パオロ・マッツァリーノ著『誰も調べなかった日本文化史』(2014年 筑摩
書房)によれば、実は日本で最初の夏場の軽装運動は、1931年に日本工業倶楽
部が開襟シャツ・ノーネクタイのスタイルを勧めたのが始まりだったという。
そして、1934年には「開襟シャツ」が流行語に選ばれるほど、官ではなく、
“民”から始まった軽装運動は盛り上がりを見せていた。戦時期を経て、戦後
しばらくはモノ不足もあって開襟シャツは市民権を得ていく。1950年代、「東
京物語」「早春」などで有名な小津安二郎監督の映画で見かけるように、日本
映画には、帽子に開襟シャツ姿のサラリーマンがしばしば登場する。余談だが、
その開襟シャツを発明し、着用を提唱したのは戸田正三 (1885~1961)とい
う衛生学者(京都帝国大学教授→金沢大学初代学長)であったという。戸田先
生は、実用的な衛生学を目指し、上下水道の水の処理法、日本の気候風土に適
合した建築衛生学(環境工学)、食生活についてまでも幅広く研究され、高温
多湿の日本の夏に適した開襟シャツを広めたいわば“クールビズの父”なのだ。
その後、日本の開襟シャツがハワイの移民に引き継がれ、現在の「アロハシ
ャツ」につながったという話は知る人ぞ知る話。さらに言えば、現在の沖縄県
庁など南国の官庁の「かりゆしウエア」も、この開襟シャツがモチーフという
説もある。
■冷房の台頭と開襟シャツの衰退、そしてクールビズへ
時代はめぐり、1950年代も半ばを過ぎると、近代的なビルを中心に冷房設備
が整い、開襟シャツも表舞台から姿を消していく。一般家庭にも冷房は次第に
広がり、夏でも背広・ネクタイを着用しても耐えられる環境が整ってくる。そ
して、高度経済成長を背景に、大量採用の時代が続く中、リクルートスーツや
ネクタイの商戦も過熱化、就職活動を起点に黒や紺の背広(スーツ)にネクタ
イという定番スタイルが定着していったのではないか、と想像される。
朝の満員通勤電車に背広・ネクタイ姿のサラリーマン、それが当たり前の光
景になっていく中で、職場においても「服務規律」や「ドレスコード」が規定
され、そこから外れても、また明記されていなくとも不文律を犯すことになる、
という風潮が広まっていく。1970年代後半から80年代にかけて、政府が主導し
た、いわば官初のクールビズ運動である半袖背広の「省エネルック」が一瞬注
目されたが、あまりの格好悪さに賛同も得られず、結局流行らなかった。ちな
みに、私立女子中学校の試用期間中の教諭に対して、「礼儀の常識をわきまえ
ず、言語表現・対人態度が粗野、ノーネクタイ等を理由としなされた解雇につ
き、権利濫用に当たり無効」とされた判例が出されたのは1971年のこと。以後、
30年以上そんな環境が続き、久しぶりに沸き起こったのが、昨今のクールビズ
というわけだ。
ずいぶんと遠回りをして、ネクタイとシャツ(背広)、クールビズの歴史と
起源を駆け足で見てきた。だが、これらを単なるファッションや文化の話で終
らせるのは勿体ない。最近はさらに先を行き、より軽装のスーパークールビズ
という動きもあるが、亜熱帯化する夏場をどう乗り切って、生産性を高めるか
という視点で、諸先輩方の節度ある涼しい伝統をつないでいきたいものである。
(編集委員 石川了)
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3 私が読んだキャリアの1冊
(1)『脳には妙なクセがある』 池谷裕二著 扶桑社新書 2013.11.3
大学のキャリア科目を担当している。多くは低学年(1~2年生)対象の授業
で、ソーシャルスキル(社会で生活していくために必要な対人関係を中心とし
た技能)の育成や、社会人(提供者)への移行準備を目的としている。
最初の授業で必ず伝えるメッセージがある。「身体を動かす体育のようなト
レーニング科目です」。ゲームやワーク、プロジェクト演習を通じて、コミュ
ニティー構成員としての身体的な経験を大切にしている。
トレーニングという身体性を重視した現在のスタイルは、経験学習理論や状
況的学習をベースにしているが、本書『脳には妙なクセがある』によって、全
く別の“脳科学”という視点からも後ろ盾を得ることができた。
本書は、平易な表現で書かれてあり、一見軽いエッセーのように感じるが、
巻末には207にもおよぶ参考文献が記されており、かなり骨太な書籍と言える。
また、著者の「脳観」が分かりやすく書かれてあり、この点に身体的トレーニ
ングの意味を見いだすことができる。主な主張をまとめてみる。
『自由意志とは本人の錯覚にすぎず、実際の行動の大部分は環境や刺激によ
って、あるいは普段の習慣によって決まっているということです(p.264)』
『自動判定装置(である脳)が正しい反射をしてくれるか否かは、本人が過
去にどれほど良い経験をしてきているかに依存しています。だから私は、「よ
く生きる」とは「よい経験をする」ことだと考えています(p.271)』
『よい経験をしたら、あとは脳の自動的な反射に任せておくだけ。これほど
前向きで、健全な生き方がほかにあるでしょうか(p.282)』
本人が自分の意志で決めたと思っていることでも、経験と環境からつくられ
た「反射」によって、脳は無意識のうちに決めてしまっている。そう言われて、
違和感がないわけではない。しかし、筆者の経験で言えば、プランドハプンス
タンスのように予期せぬ出来事に対峙したときほど、瞬時に意思決定している
ことが多い。それっぽい理由は、後から言語化したものに過ぎないように思う。
『脳が言語を扱うようになったのはごく最近であって、それ以前は、非言語
的な身体世界に脳が暮らしていたことになります(p.337)』『心は脳にある
のではありません。心は身体や環境に散在するのです(p.340)』
『あくまでも身体がトリガーです。(…)私たちの脳が「出力(身体運動)
を重要視する」ように設計されている以上、出力を心がけた生き方を、私は大
切にしたいと思っています(p.344)』
『「健全な魂は健全な肉体に宿る」という、いまや前時代的とも言えるユウ
ェナリスの言葉にこそ、より生物学的な本質が潜んでいるのではないでしょう
か(p.146)』
学生の就活相談にのっていると、「方向性が決まらなくて動けない」といっ
た言葉をよく耳にする。そして、身体を動かさずに、あーでもないこーでもな
いと脳内の不安を増幅させていく。それでは“順番が逆”なのだ。身体や環境
にとって適切な「よい経験」をつむことが先で、それにより「反射」が身につ
けば、あとは自動的に意思決定がすすんでいく。
とは言うものの、自分自身もできるだけ身体運動をショートカットして、効
率的に物事を進めたがる傾向を否定できない。回り道を嫌い、有益だと判断し
たことのみを最短距離で行きたがる。しかしそれでは、経験値は低いままで、
適切な「反射」を得ることができない。
ヒトは、それほど合理化された生き物ではなく、身体を使って経験したこと、
出力したことからしか学べないものが多くあるのだろう。だとすれば「自分に
は向いていない」「適性がない」と、経験する前に判断を下してしまうのは本
当にもったいない。
『ヒトは自分自身に対して他人なのです(p.271)』。いま自己認識してい
る“自分”を過信せず、自分自身に対してもっと謙虚になることを大切にした
い。その方が、自身も気付かない、彩り豊かなキャリアを築けるだろう。
脳研究者である著者には、他にも多くの著書がある。これらのアウトリーチ
活動におけるテーマは、『脳科学の観点からみて「よりよく生きるとは何か」
を考えること(p.5)』とある。他の著書にも興味がかき立てられる。
(編集委員 平野恵子)
(2)『不平等との闘い-ルソーからピケティまで』
稲葉振一郎著 文春新書 2016.5.20
2014年12月に発売されたピケティ『21世紀の資本』日本語版は、728頁5,940
円という大部にもかかわらず、発売後わずか4か月で16万部を売り上げるベス
トセラーとなった(全世界では優に100万部超を売り上げたという)。翌1月の
ピケティ来日の前後には、メディアが競ってこれを報じ、解説書・入門書の類
が多数刊行され、ビジネス誌が相次いで特集を組むなど、空前のブームとなっ
たことは記憶に新しい。この本も、著者によれば「出し遅れの「便乗本」」だ
ということだ。
実際、『21世紀の資本』をめぐっては、わが国でも格差と不平等についてさ
まざまな議論が展開された。たとえば、「週刊エコノミスト」2015年2月17日
号の特集記事をみても、「競争と格差があるから意欲が高まり競争力が高ま
る」「資本は有能な人材に集中させたほうが効率的」といった意見から、「そ
れぞれの国でいわば“心地よい格差”を探る必要がある」「貧困者に注目する
と日本は超格差社会で対策が必要」「日本では住宅保有と雇用形態・所得の格
差に注目すべき」といった意見まで紹介されている。それぞれに一理ある見解
であり、議論は収斂しない。
もちろん、唯一の正解がある話ではないだろう。しかし、それにしてもこう
した状況をどのように整理し、理解すればいいのか。そのためには、この問題
を今現在の視点だけではなく、歴史観をもってとらえていく必要があるという
のが、この本の基本的な問題意識だ。
この本は、経済的不平等を扱う学問である経済学が、この問題にどう向き合
ってきたのか、その歴史的視座のもとにこんにちの議論を整理した本だといえ
るだろう。経済学の、まさに書名どおりの「不平等との闘い」を、これまた副
題のとおりにルソーやスミスの時代からピケティのこんにちに至るまで、『21
世紀の資本』の主たる関心事項である先進資本主義国における不平等を中心に
描き出した本だ。
もちろん、その「闘い」のありようも歴史を通じて一様であったわけではな
い。スミスやマルクスの時代には、考え方の違いこそあれ経済学は不平等に対
して重大な関心を持って対峙してきた。新古典派の時代に入るとその関心は失
われていったが、技術革新を織り込んだ内生的成長モデルの導入や労働経済学、
特に人的資本論の展開を通じて、1990年代にはふたたび経済学は不平等に強い
関心を寄せるようになる。著者はこれを「不平等ルネサンス」と呼ぶ。その議
論の高まりの中で登場したのがピケティと『21世紀の資本』だ、というわけだ。
そうした歴史観をもとに、著者は『21世紀の資本』のエッセンスを紹介し、
それを踏まえて不平等をめぐる経済学研究の現状と課題が紹介される。本書の
冒頭で紹介された、ルソーやスミスの昔からある平等と成長をめぐる議論は、
まだまだ決着していない。経済学の「不平等との闘い」はまだまだ続くのだ。
そして最終章では、その背後にある経済思想や哲学が敷衍されてしめくくられ
ている。
数多くの優れた点を持ち、多くの人に広くおすすめしたい本だと思う。第一
に、この本一冊を読めば、現在において不平等を論じる上で求められる経済学
的な知識が概ね得られるということがあげられる。古典派経済学、マルクス経
済学から新古典派経済学を経て今日の議論、『21世紀の資本』のエッセンスま
で、そのポイントが的確かつ明確に指摘され、整理されている。
第二に、ともすれば難解、晦渋になりがちな内容にもかかわらず、きわめて
わかりやすく明快に記述されていることがあげられる。前半の歴史的な部分は
読み物としても楽しく読めるし、「不平等ルネサンス」の部分は実はかなりの
部分が理論経済学の話なのだが、それにつきまとう難解さをほとんど感じさせ
ない。
第三に、経済学だけではなく、法学や哲学、社会学の分野にまで幅広く目配
りされていることがあげられよう。冒頭紹介したような不平等をめぐるさまざ
まな意見も、哲学や経済思想の系譜の中に位置づけてみるとかなりすっきりと
整理することができそうだ。
わが国では今、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の処遇の格差に注目が集
まっている。現在さかんな「働き方改革」も、さまざまな不平等と結び付いて
いる。今日的な課題だからこそ、歴史的視座もまた重要になる。この本の応用
可能性は広く、その意味で普遍的な価値のある本ではないかと思う。
(編集委員 荻野勝彦)
※「私が読んだキャリアの一冊」は、執筆者による図書の紹介です。
日本キャリアデザイン学会として当該図書を推薦するものではありません。
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4 キャリアイベント情報
-キャリアデザインに関係するイベントの開催予定などをご紹介します-
◆筑波大学大学院カウンセリングコース・キャリア・プロジェクト(TCCP)
第10回『Tsuku-場 イブニング・レクチャー』
日 時 2016年6月23日(木)19:00~21:00 (開場 18:30~)
テーマ 「ゆるいつながりで、ゆたかなキャリアを ~無駄な冗談の意義と
弱い紐帯の強さ~」
講 師 藤桂 筑波大学大学院人間総合科学研究科生涯発達専攻准教授
http://www.human.tsukuba.ac.jp/counseling/wp/wp-content/uploads/2016
◆大阪市立男女共同参画センター中央館「国際的な視点からみた女性の活躍促
進」講演会
日 時 2016年6月25日(土)14:00~16:00
テーマ 「女性の活躍促進とリーダーシップ~国際的な視点から~」
講 師 林陽子 国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)委員長・弁護士
http://www.creo-osaka.or.jp/webapp/AppMain.php?koza_preview=3806&port=50111&
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【学会活動ニュース】
◆2016年4月22日(金)
2016年 キャリアデザインライブ! 第1回
於 法政大学市ヶ谷キャンパス
テーマ 「データから見る若年無業者支援」
講 師 工藤啓(認定NPO法人育て上げネット理事長)
コメンテータ 西田亮介(東京工業大学大学マネジメントセンター准教授)
◆2016年5月27日(金)
2016年 キャリアデザインライブ! 第2回
於 法政大学市ヶ谷キャンパス
テーマ 「心を豊かにするワインの魅力」
講 師 松浦尚子 (有)サンク・センス代表取締役社長
【編集後記】
今年も街中でリクルートスーツ姿を見かける時期になりました。昨年に続き
新卒就職は売り手市場とのことで、4月にはすでに内々定という話も聞こえて
いたわけですが、6月1日には経団連各社の選考活動も解禁され、いよいよ今年
の就活もヤマ場を迎えそうです。昨年は8月1日解禁ということでかなり間があ
り、いわゆる「オワハラ」などの問題も発生していたわけですが、今年は今の
ところ比較的落ち着いた活動になっていると聞きます。学事・学業への影響を
なるべく軽減しつつ、多くの学生さんが望ましいマッチングを実現できるよう、
よりよい採用・就活スケジュールを考えていきたいものです。(O)
【日本キャリアデザイン学会とは】
・キャリアを設計・再設計し続ける人々の育成を考える非営利組織です。
・キャリアに関わる実務家や市民と研究者との出会い・相互啓発の場です。
・多様な学問の交流からキャリアデザイン学の構築を目指す求心の場です。
・キャリアデザインとその支援の理論と実践の連携の場です。
・誤謬、偏見を排除し、健全な標準を確立する誠実な知的営為の場です。
・キャリアデザインに関わる資格、知識、技法、専門の標準化の努力の場です。
・人々のキャリアの現実に関わり、変えようとする運動の場です。
学会の詳細、活動状況はホームページに随時掲載しております。
◆日本キャリアデザイン学会ホームページ◆
http://www.career-design.org/
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日本キャリアデザイン学会(CDI-Japan)発行
オフィシャル・メールマガジン【キャリアデザインマガジン】
このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発
行しています。
配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000140735.htm
無断転用はお断りいたします。
このメールマガジンの文責はすべて執筆者にあり、日本キャリアデザイン学
会として正確性などを保証するものではありません。
【日本キャリアデザイン学会広報委員会】
青木猛正 埼玉県立特別支援学校長
石川 了 労務行政研究所
内田勝久 富士電機株式会社社長室広報IR部
荻野勝彦 トヨタ自動車株式会社渉外部
平野恵子 文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所
堀内泰利 慶応義塾大学SFC研究所
山野晴雄 慶應義塾大学講師
日本キャリアデザイン学会事務局連絡先
e-mail info@career-design.org
〒181-0012 東京都三鷹市上連雀1-12-17
三鷹ビジネスパーク2号館 ぶんしん出版内
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