ジョブシャドウイングは、働いている人に影(shadow)のように同行し、その仕事(job)の様子を観察するキャリア教育プログラムです。その最大の特徴は「観察学習」にあり、実際に働く人の仕事ぶりを観察することで、「働くこと」への意味づけが変化し、職業観や就業観の育成につながります。
米国では、1994年に制定されたSchool-to-Work Opportunities Act(学校から職業への移行機会法)が契機となり、ミドルスクールや高校においてジョブシャドウイングが広く取り入れられるようになりました。ジョブシャドウイングは初期のキャリア教育として、インターンシップや就職活動の前段階に取り組まれます。また、就業体験を伴わない点が、インターンシップや職場体験、職業体験と異なる特徴です。
日本でも教育機関、民間非営利組織、自治体などによってジョブシャドウイングが取り組まれるようになってきましたが、インターンシップほどの認知度は得られていない状況です。また、キャリアデザインやキャリア教育という観点からその教育効果を検証した研究も、まだ多くありません。
そこで、今回のキャリアデザインライブ!では、「勤労観・職業観を育む、大学1-2年次対象の産学連携キャリア教育」という観点からジョブシャドウイングの教育効果を検討します。さらに、内定者研修としてジョブシャドウイングを活用する可能性についても掘り下げます。
登壇者には、関西大学や東京経済大学などの教育機関と連携してジョブシャドウイングを実施しているOriginal Point株式会社より、高橋政成様と村岡瑞妃様をお迎えします。聞き手は、当学会研究会企画委員会委員でジョブシャドウイング研究も取り組む小山健太(東京経済大学)が務めます。
大学生のキャリアデザインに関心のある皆様に是非ご参加いただけますと幸いです。多くのお申し込みをお待ちしております。
2025年9月26日(金) 19:00~20:30
(オンライン入場開始 18:45〜)
オンライン(Zoom)による配信
※事前申込が必要です。先着順になります。
※お申込みいただいた方にZOOMIDを送付いたします(9月23日予定)。
150名
【高橋 政成】
Original Point株式会社 代表 / 産学キャリア研究所 研究員
大学を卒業後、人事コンサルティング会社へ入社。
研修プログラム開発、コンサルティング営業として、100社以上の人材育成に携わる。
トップセールスを達成した後、最年少マネジャーへ昇格。
2016年、大学・採用・キャリア開発の領域から、新たな価値を創るためにOriginal Point(株)を設立。
産学キャリア研究所では、研究員として日本型のキャリア開発論についての研究を推進している。
【村岡 瑞妃】
Original Point株式会社
東京学芸大学卒業後、東京都の小学校教員に就く。
大手人材企業での営業職を経て、2018年にOriginal Pointに入社。
2020年には同大学院へ入学し、教育行政学・教育経営学の分野にて産学連携の在り方について研究。
同時に人材育成・教育・採用の分野を主とし、フリーランスとして複数の組織で働く。
出産を経て、現在はOriginal Pointの社員に戻り、育児と仕事の両立に奮闘中。教育学修士。
【小山 健太】
東京経済大学コミュニケーション学部准教授/当学会研究会企画委員会委員
会員/無料、非会員/1000円
※いずれも事前の申し込みが必要です。
※学会員の方は、会員サイトにログインの上お申込みください。
(ログイン前の申込みの場合は無料が適応されませんのでご注意ください)
※申込期限:9月22日(月)17:00 までにお支払いが確認できない場合はキャンセルとさせていただきます。
新年度第1回の「キャリアデザインライブ!」が、9月26日に「ジョブシャドウイング~勤労観・職業観を育む産学連携キャリア教育」をテーマにオンラインで開催されました。東京経済大学コミュニケーション学部准教授/研究会企画委員会委員の小山 健太先生が聴き手となり、Original Point株式会社 代表/産学キャリア研究所 研究員の高橋 政成 氏、同社の村岡 瑞妃 氏をスピーカーに迎え、活発な質疑がなされる大変盛り上がったライブとなりました。
ジョブシャドウイングが、学校のキャリア教育に活用されるようになったきっかけは、米国で1994年に制定されたSchool-to-Work Opportunities Act (学校から職業 への移行機会法)のようです。日本の企業でもジョブシャドウイングは徐々に活用されつつありますが、日本の学校におけるキャリア教育での活用は端緒についたばかりで、企業と学校をつなぐOriginal Pointさんのサービスと実践は大変興味深いものでした。
さて、内容に移ります。学生が社会に出ていくための啓発的経験として、インターンシップが普及していますが、インターンシップが体験学習なのに対し、ジョブシャドウイングは観察学習ということです。基本は1日で、一緒に会議に同席したり営業同行するなど準備もインターンシップに比べると簡単で、参加のハードルが低いこと、採用活動ではなくあくまでキャリア教育として運用していることが特徴です。さらに、観察することがメインなので心の余裕が生まれ思考を巡らせることができるという学生側の効果があるそうです。こうした機会を通して、実際に活き活き働いている社会人をリアルに見て感じることで、言語化が難しい社会人としての基礎力や必要なマインドを形成するなどの効果が期待されます。実際にはジョブ型人事ではない日本企業が大半という現状において、こうした機会で実際に働く社会人の就労観・勤労観に触れ、自分だったらどうかと考えることが重要であり、就職活動におけるインターンシップの機会をよりよく活用できたり、就職活動自体を学生にとってより意義あるものにできるのではないか、といった可能性があります。
参加者は学校にてキャリア教育を推進されている先生方が多く、情報強者の意識が高い学生しか参加しないのではないか、事後のケアと振り返りが大切ではないか、複数の人とのジョブシャドウイングの機会があるとよいのではないか、などなど多数の質問や意見がでて、大変活発なライブとなりました。
研究会企画委員会