DE&Iの考えが浸透しつつある中、障がい者の法定雇用率も増加しています。一言に障がい者といっても、その実際は多様です。身体障がい者、精神障がい者、様々なタイプの人材の今後の団体や企業における活躍が期待されています。一方で、受け入れる企業側も、人事制度の大転換期にあり、働き方としてジョブ型制度の導入が進む企業も現れてきています。このような環境の中、現在の企業人事部には、新たな時代にふさわしい、新しい人事スタイルを作り出すミッションが期待されています。
新しいツールが数多く誕生し、効率性と効果性が向上していきますが、人事の本質、すなわち、「人事制度は、その会社の従業員に対する希望や想いを明確に表現し、従業員と共有できるよう提示する必要がある」という課題に対して、さまざまに導入されるあたらしいツールから、各社が自社の核として何を具体的に表現しようとしているのかを言語化し共有するのは容易ではありません。
第5回キャリアデザインライブ!では、現在、現場の人事部で、日夜人事の思いを言語化する課題に取り組まれている、富士通株式会社Employee Success本部福田裕幸様をお招きします。富士通株式会社の事例紹介をきっかけに、障がい者採用とジョブ型人事マネジメントという一見異質に見える二つの要素が現場でどのように溶け合っていくのか、その結果何が生まれ、何が変わるのかについて、議論したいと思います。
富士通の障がい者雇用のモットー「配慮はするが遠慮はしない」を軸にして、具体的な人事制度や障碍者雇用の多様性とマネジメントの実際を整理しながら、富士通が生み出しつつあるDE&Iの理念について、現場のキャリア支援担当者のまなざしを通して迫ります。今回のキャリアデザインライブ!では、会員の皆さんだけでなく、キャリア支援に携わる多くの方にとって、現実のDE&Iの姿、もしある日自分が障がい者になったら経験する職業生活の変化など、刺激的な学びや気づきがえられることと思いますので、ぜひご参加ください。また皆さんの現場での経験を共有していただき、富士通個社にとどまらない新しい人事の姿を皆さんと創造していければ、一層楽しいセッションになると考えています。
2025年6月13日(金) 19:00~20:30
(オンライン入場開始 18:45〜)
オンライン(Zoom)による配信
※事前申込が必要です。先着順になります。
※お申込みいただいた方にZOOMIDを送付いたします(6月11日予定)。
150名
会員/無料、非会員/1000円
※いずれも事前の申し込みが必要です。
※学会員の方は、会員サイトにログインの上お申込みください。
(ログイン前の申込みの場合は無料が適応されませんのでご注意ください)
※申込期限:6月10日(火)23:59 までにお支払いが確認できない場合はキャンセルとさせていただきます。
福田 裕幸
富士通株式会社Employee Success本部Engagement Growth統括部キャリアコーディネーター
1987年富士通入社後、30年以上富士通研究所で、電子部品、計算機、データセンターに関する研究開発に従事。2021年に人材開発部門に異動、障がい者を含む社員のキャリア支援に従事。金沢大学大学院自然科学研究科博士課程単位取得退学。プライベートでは障がい者向け柔道を支援中(スペシャルオリンピックス認定コーチ)。
細萱 伸子
上智大学経済学部経営学科 教授、当学会研究会企画委員会委員
ジョブ型人事制度の導入、社員のキャリア自律促進とポスティング制度の活用による流動性向上など、人事制度改革において学ぶべきことが多い同社ですが、障がい者のキャリア支援においても学ぶべき点が多く、たいへん勉強になり人材マネジメントのあり方を考えさせられる良いセミナーとなりました。福田さんは、同社に研究者として新卒で入社され、最近になってキャリア支援へと仕事を変えられたそうで、オンラインからでも謙虚で心優しいお人柄が伝わってきました。
さて、以下の点が学ぶべき点だと感じました。
一つには、相談者の障害の特性を踏まえつつも、それによる思い込みにとらわれず、一人ひとりの仕事への思いや望むことを良く聴き、それを優先した支援を行う。例えば、人事管理的な視点だと、足がよくない方は在宅勤務のほうが良いだろと思い込みがちですが、職場の同僚と対面で対話する中で新たなものを創りだしたいという本人の思いに共感し、その主体性を応援する支援をする。そうしたキャリア支援者としてのあり方に共感しました。
二つ目は、DE&Iの考え方をベースに、障がいを持つ方も含め多様性をイノベーションに活かすことを経営方針として掲げ、経営トップがリードし、障がい者雇用を促進されていること。ジョブ型人事制度において、現場のマネージャーは自組織のポジションを担うによりふさわしい人材を求めます。こうした中で障がい者の働く場を確保することが難しくなる傾向があります。しかし、同社では経営トップが強いリーダーシップにより、障がいを持たれる方の働く場を確保する努力をされているそうです。
日本の製造業では、ものづくりの現場が少なくなり、仕事におけるデジタル化やAI活用が進んできました。こうした変化の中で障がいのある方の働く場の確保も難しくなっている状況もあり、グループ企業の中で広く働く場の確保などの取り組みが必要になります。こうした取り組みに安易な解はなく、人事やキャリア支援者が引き続き努力していく必要を感じました。また、業績達成や生産性を重視する企業社会だからこそ、経営者の意志や人間観が問われるのだと思います。こうした点で同社の取り組みは学ぶべきことが多く、大変勉強になりました。企画いただきました研究会企画委員の皆様、ありがとうございました。
研究会企画委員会