学会20周年記念!2023年度 第5回キャリアデザインライブ !ご報告

テーマ
人と人とが「響きあう職場」から生まれるものとは?
-障害者雇用の可能性と未来-
開催日
2024年4月22日(月)
【 詳細 】

日本国内では、SDGs への関心の高まりもあって、組織における「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(以下、DE&I))」への対応が推進されるようになりました。
とりわけ、障害のある人が働くことに関する施策は、障害者雇用促進法の改正により、本年4 月から法定雇用率が2.3%から2.5%へと上昇し、対象事業主の範囲も従業員40.0 人以上となります。しかし、これまで障害のある人とない人を「分ける」ことで、学び、暮らし、働く機会をそれぞれに保障してきた日本社会にとって、障害はもちろん、多様な違いやニーズをもつ人たちが1 つの目的を共有しながら、同じ職場でともに働くことは、決して容易なことではありません。
そこで、第5 回キャリアデザインライブでは、埼玉県深谷市で特別養護老人ホーム「ひびき」を運営する社会福祉法人両宜会理事の土居敦志さん(兼、ひびき施設長)をゲストにお迎えします。特別養護老人ホーム「ひびき」では、高品質で優しい介護サービスを提供するという理念のもと、障害、国籍や言語、宗教など多様なニーズを持つ人と人とが力を合わせて働ける職場づくりを進めてきました。介護福祉サービスの提供という法人にとっての中核事業の中で、障害のある人に限らず、多様なニーズをもつ人たちが、どのように活かし活かされ働いているのか、現場の実践をもとにお話頂きたいと思っています。
企業にてDE&I や障害者雇用を担当されている方はもちろん、障害者雇用/就労支援に携わっている方、「多様なニーズをもつ人と人とが働く」社会の実現に向けて奮闘されている方など、少しでも興味を持って下さった方々と共にお話しが出来る時間にしていきたいと思っています。

2023~2024年期 第5回キャリアデザインライブ!
開催日時

2024 年4 月22 日(月)19:00~20:30
(オンライン入場開始:18:45〜)

開催方法

オンラインにて実施:Zoom による配信
※申し込みいただいた方にzoom ID をご連絡いたします。

定員

オンライン100 名(先着)

参加費

会員/無料、非会員/無料 いずれも事前の申し込みが必要です。
今回は日本キャリアデザイン学会20 周年記念企画の一環として、当学会をよくご理解いただくためのオープン企画として開催します。非会員の方についても、会員の方からのご紹介があれば無料で参加できます。

登壇者

土居 敦志土居 敦志 (どい あつし)
社会福祉法人両宜会理事 特別養護老人ホーム「ひびき」施設長
1976 年(昭和51)埼玉県生まれ。拓殖大学商学部経営学科を修了。自動車販売会社から高齢者福祉施設の介護職員に転職。死を間近に感じながらも利用者やその家族からの感謝の言葉にやりがいを感じ、その後施設長となる。人材不足の業界の中、障害者であっても仕事が出来ることを実感。障害者雇用にも力をいれる。働きたい気持ちがあれば誰でも働けるという信念のもと職員体制を構成。埼玉県で初のもにす認定を取得し、現在に至る。

進行

阿部 潤子(あべ じゅんこ)
株式会社Connecting Point、当学会研究会企画委員会委員

開催報告

いよいよ2023年度の後半戦となるキャリアデザインライブ!は、埼玉県深谷市の特別養護老人ホーム「ひびき」の施設長であり、社会福祉法人両宜会理事の土居敦志さんをお招きし、4月22日に開催されました。
「ひびき」には障がい者が約1割、60歳以上の職員が約2割、多様な国籍、勤務形態の職員が所属しており、多様な環境下での取組のご紹介を通じて、一人ひとりがどうすれば自分らしさを活かして働くことができるのかということを考える1時間半でした。
実は、土居さんの職業キャリアは、トラックの営業からスタートしたそうです。
いわゆる氷河期という厳しい時代に、思うように営業が進まなかったご経験から、「仕事って何だろう」と立ち止まって考えたときに辿り着いたのが、現在の福祉業界だったとのこと。
未経験でありながら介護職員に転身された20数年間で、現場、事務、生活相談等、様々な業務に携わられます。
なかでも、出向という転機での新規事業を立ち上げたご経験は、様々な人の気持ちを請け負いながら一から創り上げる「ひびき」の創業に活きたというお話がありました。
平成20年に開設された「ひびき」は、「福祉を必要とするすべての人に優しい介護を」という理念を掲げ、87名の職員が働いています(令和6年4月1日現在)。
様々な背景を持ち合わせた職員が集まる職場では、職員同士で言葉が通じなかったり、気持ちが伝えられないという課題が生じます。
コミュニケーションがスムーズにいかない場面があるなかでも、特に、障がいのある職員については、職員本人のやりたい気持ちを第一に尊重しながら、介護補助、洗濯、清掃等の多種多様な業務についてトライ&エラーを繰り返すことによって本人の可能性を広げ、成長の支援をしていることをご紹介いただきました。
仕事をする上で障壁があるなかでも、公平性を重視し、どんどん挑戦し、失敗しても次につなげるマインドと、丁寧な対話がポイントであると感じました。
土居さんは、国内だけに留まらず、APCD(タイアジア太平洋障害者センター)の皆さんとも交流を持ちながら、障がい者の可能性を信じること、そして、能力や才能を発揮することによって、社会に貢献できるという熱い想いを持ち、日々現場と向き合っていらっしゃいます。
また、近隣の高齢者に井戸端会議の場を提供する「にじいろサロン」や、特別支援学校の学生と制作した野菜や陶芸品を販売する「はばたき・ボン・マルシェ」など、地域に根差した活動もご紹介いただきました。
様々な垣根をこえた助けあいのコミュニティづくりは、参加者にとって憩いの場となるだけではなく、一人でも多くの人に「福祉って楽しい」と感じてもらい、社会的な認知をひろげ、福祉業界全体を巻き込んだ共生社会を目指されています。
ご講演後半の質疑応答のお時間を延長するほど、参加者の関心も高く、大変盛り上がるライブ!となりました。
特に、今回進行を務めた本学会研究企画委員の阿部さんとのやり取りの中で、
「福祉業界には、生かし・生かされているということを当たり前に言える人たちが集まっており、魅力的な業界である」と笑顔で共感しあうお二人が印象的でした。
キャリアデザインライブ!さえも「ひびきあう」場としたのは、土居さんが、福祉に対する使命感と感謝の気持ちを持ち続けていらっしゃるからこそであったと思いました。
この度は貴重なお話をいただきありがとうございました。
○社会福祉法人 両宜会 特別養護老人ホーム ひびき
○株式会社 Connecting point

企画・運営

研究会企画委員会

日本キャリアデザイン学会は、今年20 周年を迎えます。20 周年記念企画の1つとして、ご好評をいただいているキャリアデザインライブを 2023 年12 月から2024 年9月まで10 カ月連続開催させていただく予定です。また、学会を多くの方に幅広く理解いただくために、キャリアデザインライブの大半を学会員以外の皆様にも公開いたします。この機会に是非、日本キャリアデザイン学会にご参加ください。