1on1 など職場コミュニケーションの重要性が説かれて久しいです。コミュニケーションは、多様性を受け入れ、協力し、共感する手段として、個人や組織にとって不可欠なスキルとなっています。
さらにこれからの時代、加速度的な事業環境の変化により、情報化社会はますます進みます。組織では労働人口減少に対する生産性向上が必要ですが、組織の人材はバックグラウンドや価値観、働き方も多様化し、マネジメントはますます複雑化していきます。
2021 年に発売された『LISTEN』は、登壇者の篠田さんが原書を読んで自ら編集者に提案して監訳、出版したものです。『LISTEN』というタイトルには、「能動的に耳を傾ける」という意味があります。これまでのコミュニケーション手法では「話すこと」「伝えること」が重要視され、「聞き方(聴き方)」を意識し学ぶ機会が非常に少ないのが実情です。
「そもそも、聴くとはどういうことか」
「自律型人材っていうけれど、自律ってなんだ」
「聴くにはどうしたらいいか」
『LISTEN』監訳者の篠田さんのお話をお伺いしながら、「聴く」ことの重要性をディスカッションし、組織マネジメントや個人キャリアでどう生かしていくべきなのかを皆さんと一緒に考えます。
2024 年3 月4 日(月)19:00~20:30
オンライン(Zoom を使用します) ※事前申込が必要です。先着順になります
150名
会員/無料、非会員/無料 いずれも事前の申し込みが必要です。
今回は学会をよく理解いただくためのオープン企画として開催します。
非会員の方についても、会員の方からのご紹介があれば無料で参加できます。
篠田真貴子(しのだ・まきこ)
エール株式会社 取締役
社外人材によるオンライン1on1 を通じて、組織改革を進める企業を支援している。2020年3 月のエール参画以前は、日本長期信用銀行、マッキンゼー、ノバルティス、 ネスレを経て、2008 年〜2018 年ほぼ日(旧・東京糸井重里事務所)取締役CFO。退任後「ジョブレス」期間を約1 年設けた。慶應義塾大学経済学部卒、米ペンシルバニア大ウォートン校MBA、ジョンズ・ホプキンス大国際関係論修士。(株)メルカリ社外取締役。経済産業省 人的資本経営の実現に向けた検討会 委員。人と組織の関係や女性活躍に関心を寄せ続けている。『LISTEN――知性豊かで 創造力がある人になれる』『ALLIANCE アライアンス 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』監訳。『デュアルキャリア・カップル―― ――仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』日本語版序文、『まず、ちゃんと聴く──コミュニケーションの質が変わる「聴く」と伝える」の黄金比』巻頭言
髙橋 実(たかはし みのる)
株式会社ティーブリッジェズカンパニー 代表取締役
パラレルワーク人事「マイクロ人事部長」として現在5社で人事責任者/人事アドバイザリーを務める。
慶應義塾大学法学部卒業後、株式会社ジェーシービーに入社し、ネットビジネス黎明期の新規事業企画・推進に従事。その後NTT、トヨタの新規クレジットカード事業立ち上げを経験し、40 歳で人事に転身。大手企業、100 年企業、IT 企業と様々な組織の人事責任者を経たのち、2018 年より現職。事業承継や企業の変革フェーズでの組織開発を得意とする。セミナー登壇、取材実績多数。その他にも法政大学キャリアデザイン講師。銀座のキャリアバー「助家(たすけや)」顧問なども務めている。
2023年度第4回キャリアデザインライブ「『聴く』からはじまる、対話によるマネジメント」が3月4日(月)に実施され、200人近くが集まりました。
冒頭では、今回のホスト役として、パラレルワーク人事「マイクロ人事部長」として現在5社で人事責任者/人事アドバイザリーを務め、法政大学でキャリアデザイン講師もされている株式会社ティーブリッジェズカンパニー代表取締役の髙橋実さんがイベントの主旨説明をした後、篠田真紀子さんをご紹介しました。
篠田真紀子さんは、日本長期信用銀行、マッキンゼー、ノバルティス、ネスレを経て、2008年〜2018年ほぼ日(旧・東京糸井重里事務所)取締役CFOとして活躍されました。退任後、「ジョブレス」期間を約1年設けた後、2020年3月から社外人材によるオンライン1on1を通じて、組織改革を進める企業を支援しているエール株式会社の取締役を務めています。
今回のテーマである「聴く」については、『LISTEN』の監訳者でもある篠田さんご自身の体験から強い思いをお持ちでした。
マッキンゼーを辞めた経緯を10年程経過した時にキャリアインタビューをしてもらい、他者に話すことで、自分自身では気づいていなかったことに気づき、経験を学びなおす機会になったのだそうです。聴かれたことで、実践・経験したことを、様々な観点から観察し、応用できるように概念化できた。まさに内省が促され、経験学習が促進された経験だったということです。
この経験から、より良い聴き方を少し意識するだけで、コミュニケーションがよくなること、 「聴かれた」ことでキャリアの考え方や仕事への向き合い方が深まり、キャリア自律が進むということを、エールの社外人材による1on1を通して 実践されています。 話を聴いてもらうことで、エンゲージメントスコアが向上したエビデンスも紹介されていました。このように「聴かれる・聴く・聴き合う」ことが組織として欠かせないのですが、上司だけにそれを担わせるのではなく、上司以外のメンターなどを活用することで、「点」ではなく「面」で聴く力を高め、多様な聴かれる機会を組織に埋め込んでいく必要性を強く伝えていただきました。キャリアコンサルタントの参加者も多かったと思いますが、組織に必要な「聴く」変革にキャリアコンサルタントが担える可能性の大きさへ、篠田さんからの期待も強く感じられました。
後半の質疑応答では、ちゃんと聴かれた体験、体感がない人が部下の話を聴く難しさに対する質問などが多数ありました。一つ一つの質問に丁寧に寄り添っていただき、聴き方の種類や場面に応じて適切に自覚的に使い分けられること、何よりも相手に好奇心を持ち、話し手の肯定的な意図(相手は正気で、善良で、理もある)を信じる「あり方」の重要性に改めて気づかせていただけました。
研究会企画委員会
日本キャリアデザイン学会は、今年20 周年を迎えます。20 周年記念企画の1つとして、ご好評をいただいているキャリアデザインライブを 2023 年12 月から2024 年9月まで10 カ月連続開催させていただく予定です。また、学会を多くの方に幅広く理解いただくために、キャリアデザインライブの大半を学会員以外の皆様にも公開いたします。この機会に是非、日本キャリアデザイン学会にご参加ください。