(共催)2023年 第4回キャリアデザインライブ!ご報告

テーマ
不登校児母親のコミュニケーションスキル支援事業としての社会的起業
-当事者の問題意識からNPO活動の展開へ
開催日
2023年7月22日(土)
【 詳細 】

現在日本では、子供の不登校問題が年々深刻化し、小中学校生徒の約1割が不登校を経験しています。現象としての不登校は学齢期を終えることで見えなくなりますが、子供たちの不登校経験は、本人にとってもその後に影響する大きな課題の発見であり、同時に家族、特に母親に大きな人生の転機となる事象です。その点では、子供の「不登校」という現象は、子供と親の双方にとっての、ライフキャリア上の発達あるいは学習課題としてアプローチすることが可能です。こうした問題に対して、私たちはどのような支援を構想することができるでしょうか。教育の権利保障のみならず、次世代育成の観点から、当事者親の就業継続などの点からも社会的な課題といえるでしょうか。

そこで本企画では、ご自身の子供の不登校対応から、「学習型親の会」ピアサポートグループを立ち上げ、現在では、大阪を本拠に、全国に350名会員を有するNPO法人として活動を続ける谷田ひろみ氏をお迎えします。不登校問題が進展する中での、当事者ならではの視点に基づく不登校問題の本質への取り組みと活動の展開、これまでの転機など、自らの事業展開の特性やその時々に生み出してきた問題解決のためのイノベーションについて、お話しいただきます。その活動は、2023年大阪市の市民活動表彰を受けるなど、徐々に社会的な重要性が認められてきています。
講師のお話とフロアとのディスカッションを通じて、不登校問題の本質と真に必要な支援とはなにか、社会的企業体としてのNPO活動の継続のカギに迫りつつ、教育現場や生徒本人と母親に向けた就労支援など、社会的枠組みの中での位置づけについて議論したいと思います。

今回は日本キャリアデザイン学会関西支部のご協力を得て、大阪で開催いたします。
関西在住の皆様のご意見をライブでいただいて、盛り上がりたいと思います!

2023年第4回キャリアデザインライブ!
開催日時

2023年7月22日(土)14:00~15:30(日本キャリアデザイン学会関西支部 共催)

会 場

対面及びオンラインにて実施

・対面:公益財団法人 関西生産性本部 (大阪市北区)
※申し込みいただいた方に場所の詳細をご連絡いたします。
・オンライン:Zoomによる配信
※申し込みいただいた方にZoom IDをご連絡いたします。

大会テーマ

不登校児母親のコミュニケーションスキル支援事業としての社会的起業-当事者の問題意識からNPO活動の展開へ

登壇者

谷田ひろみ(たにだ ひろみ)
NPO法人ファミリーコミュニケーション・ラボ(通称「ファミ・ラボ」)代表。心理学修士、産業カウンセラー・日本心理学会認定心理士・キャリアコンサルタント・ 母親ノート法点検者・HEG式ビジネスコンサルタント・一般財団法人生涯学習開発財団認定コーチ資格。
2008年、mixi上に不登校児童・生徒の親のための掲示板を作成。その後、傾聴サークルを主軸に定期的に勉強会を運営。2015年 NPO法人設立。2023年現在、全国12会場で、傾聴勉強会、交流会を定期開催。活動を通じて、親業、傾聴、NVC(Non Violent Communication)の手法を組み合わせた母親教育プログラムを開発、子供の不登校に直面し苦しい時期を送る母親たちの学習支援を実践。全国規模のNPO活動として、mixi掲示板利用者数は約1600名。法人への参加会員数は350名超、各年1回全国大会を開催。コロナ下のオンライン文化普及により、全国的な活動がより拡大している。2023年大阪市市民活動グランプリ優秀賞受賞。

聞き手

細萱伸子
上智大学経済学部、当学会研究会企画委員

定員

対面 36名(先着) オンライン100名(先着)

参加費

会員/無料(事前申込制)、非会員/2,000円(事前申込制)

開催報告

7月22日(土)に第4回キャリアデザインライブ!が、関西支部と研究会企画委員会の初共催で行われました。会場は大阪の街並を見下ろす関西生産性本部の28階会議室。炎暑のなか、冷房の効いた会議室からハイフレックス方式(対面とオンラインの同時開催)でつつがなく運営されました。
 今回のテーマは「不登校児母親のコミュニケーションスキル支援事業としての社会的起業-当事者の問題意識からNPO活動の展開へ」。登壇者である谷田ひろみ氏は、ご自身の子供の不登校対応から「学習型親の会」ピアサポートグループを立ち上げ、現在では、大阪を本拠に全国350名の会員を有するNPO法人ファミリーコミュニケーション・ラボ(通称「ファミ・ラボ」)の代表として活動されています。これまでの取り組みを説明する落ち着いた話しぶりからは、積み上げてきたものへの自負と責任が感じられ、熱い気持ちが伝わってきます。より多くのステークホルダー(母親の就業先や父親、学校など)に「不登校のその後」という現実を知ってもらいたい……というお話からは、新たなフェーズに進もうとする強い意思が感じられました。
 講演後は参加者の皆さんとの議論タイム。それぞれの立場から理解を深める質問があり、企業の方からは可能な支援対応についてご意見をいただくなど、参加者それぞれが、自らの問題として共有する場となりました。リアルのライブ!はオンラインのみとは異なる味わいがあり、時間一杯まで会場・オンライン参加者から質問が続く熱気ある会になったように思います。今後は、各地での開催も検討してまいります。